深い溜息の原因 最近、応接室に入り浸っている。雲雀くんは授業中でも関係なしに呼び出しをしてきて、そして、風紀委員の仕事を優先してくれと他の教師たちに半泣きで頼まれたため、風紀委員の活動場所である応接室での時間が増えたのだ。保健体育という教科を受け持っているのが功をなしたのか、授業を放り出さずともなんとかやっていけているが、雲雀くんの人使いの荒さはなんとかならないだろうか。 今日も本当なら授業参観に勤しんでいるはずだが、雲雀くんに仕事を頼まれ、応接室のデスクに向かっている。授業の時間を交換して欲しいと頼んだ数学の先生は上手くやってくれているだろうか。いや、私よりも教師歴が長い彼の心配をするのは失礼だろう。…………授業参観、楽しみにしていたのだけれど。 深く溜息を吐き、ぼんやりしていると、応接室に人が近づく気配がした。応接室に近づく人は滅多におらず、さらに言うなら、今は授業中で、生徒の可能性は低い。いったい誰だろうと考えているうちに扉が開かれ、雲雀くんが入ってきた。いつも雲雀くんは仕事を押しつけるとすぐに姿を消してしまい、こうして雲雀くんと応接室で二人きりになることは珍しい。なにかあったのだろうかと立ち上がろうとしたのだが、彼は片手を動かして私の動きを止めた。 121214 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |