放課後の仕事 放課後、顧問をしている委員会に顔を出し、なにか手伝うことはないかと申し出ると、山ほどの書類を渡された。ちょうど人手不足だったんだよねと、今朝よりも機嫌がよさそうな雲雀くんは、風紀委員の見回りに行ってしまう。――書類整理は慣れているが、この量は少し時間がかかるかもしれない。 書類にペンを走らせて数時間。最後の紙にチェックを入れ、仕事が終わったので先に失礼しますと一筆書いたメモを残す。上着を羽織り、マフラーを首に巻いて、手袋をはめる。しっかり防寒をして校舎の外に出ると、ちょうど部活が終わる時間帯なのか、遅い時間にもかかわらずたくさんの生徒が歩いていた。何人もいる生徒の中から見知った顔を見つけ、相手も私に気づいたようで、片手を挙げる。小走りで近づくと、彼の周りにいる部活仲間も私に視線を向けた。 「山本の知り合いか?」 「見ない顔だな。もしかして、彼女とか?」 「おおー、マジか。あの山本がついに一人の女のものに!」 騒ぎ出す彼らの中には私が担任するクラスの生徒もいて、だが、私が担任だと気づいていない様子で、山本くんが笑いながら私の名前を呼ぶと「ヘンリー先生!?」と何人かの生徒が驚きの声を上げた。 121212 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |