振り袖を着てみる いつもは黒いスーツに身を包んでいるのだが、今日はリボーンに言われた通り振り袖を着込んだ。沢田家を訪ねるとボスが出迎えてくれ、それからすぐに正月合戦をすることになったのだが、揃ったメンバーに違和感を覚える。ボス、獄寺くん、山本くん、ランボ、ハルさん、それから初対面の笹川了平くんと、キャバッローネファミリーの人たち。人数が、多いような少ないような。メンバーが、おかしいようなおかしくないような。いくら考えても違和感の正体に気づくことはできず、半分意識を飛ばしながら二つのファミリーの戦いを静観していたのだが、どうやらボンゴレが押されているらしい。一億円の借金がと嘆くボスに、一億円程度ならすぐに稼ぎますよと、親指を首の前でスライドしてみせると、ボスは勢いよく首を横に振った。 「ヘンリーさんは、なんでマフィアになったんですか?」 最後の勝負である、もちつきに使うあんこを作っていると、手持ち無沙汰にしているボスに声をかけられた。突然の質問に驚いたが、隠すことではないし、なによりボスの質問なんだからと、素直に答える。 異世界に飛ばされ途方に暮れていた私に手を伸ばしたのがボンゴレ九代目で、気立てのいい九代目は無償で私に衣食住を与えてくれたが、それでは道理に合わないと手伝いを申し出たのがマフィアの始まりだった。幸か不幸か、マフィアという職業は、私にとてもマッチしていた。 121204 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |