袋詰めの、お見舞い品

 ディーノとのトレーニング中に怪我をして入院したというボスの見舞いに行こうと思うのだが、手土産はなににすればいいだろうか。病気ではないのだからフルーツの詰め合わせでも持っていこうかと考えたのだが、誰かしらが持って行ってそうだ。数十分悩み手に取ったのは、手のひらよりも小さなウォークマン。これなら他の人に迷惑がかからないし、退屈凌ぎにちょうどいいだろう。人気のCDと合わせて袋詰めにした巾着を片手に、ボスの病室を訪れる。

「ボス、大丈夫ですか?」

 先に訪ねていた山本くんに頭を下げてから見舞いの品を渡すと思っていた以上に喜ばれた。顔を輝かせて喜ぶボスに、私の方がプレゼントをもらった気分だ。
 怪我以外は元気そうなボスに安堵し、そして、ボスの膝の上に乗った小船に首を傾げる。山本くんからの見舞いの品だという言葉に目を丸くし、美味しそうな刺身が乗った小船に目を奪われた。あまりにも凝視していたせいか、ボスが「食べる?」だなんて気を遣ってくれ、慌てて首を横に振る。ジロジロ見ていたことを謝罪し、そろそろおいとましようと思ったところで新たな見舞い客がやってきて、こんなにたくさんの人に見舞われる、人望が溢れるボスに感心した。

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