不運な男と不運な子供

「これはこれは、若きヘンリーさんではないですか」

 自然な動作で指を絡めてくる男には、見覚えも、面識もないが、とりあえず笑ってみせる。すると横から伸びてきた黒く細長い物体が、男性の首に巻きついた。顔を少し動かすと鞭を構えているディーノが見えて、彼は眉間に皺を寄せて男を睨みつけている。部下がいないにも関わらず見事な鞭さばきをみせたディーノに驚いていると、シャツの胸元をはだけさせている男は苦しそうに喘ぎ始めた。上手い具合に首が締まり、息ができないようだ。
 私と同じように固まっていたボスが、慌てたように「ランボ!」と叫び、男を鞭から救い出す。一歩遅れて私も我に返り、慌ててディーノの腕を掴み鞭を離させると、男はゲホゲホと咳き込みながら膝をついて、そのまま煙に包まれて消えていった。男が消えていった場所にはランボが現れ、相変わらず大泣きをしている彼を抱き上げる。ポケットから出したちり紙でランボの顔を拭いてやると、泣き疲れたのか、そのまま彼は腕の中で眠りに落ちた。ボスが、先ほどの男は十年後のランボだと説明してくれるのを話半分で聞きながら、なにやらニヒルな笑みを浮かべるリボーンに首を傾げる。また、妙な思いつきでもしたのだろうか。できればその思いつきに私を巻き込まないで欲しいと願い、夜空の星を眺めながら足を動かした。

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