へなちょこディーノ

 ボスの家で夕飯をご馳走になっているときにそれは起こった。慌てたように逃げ惑う奈々さんをなだめる役割を担っていたのだが、風呂場から聞こえてきた子どもの泣き声に現場に駆けつける。ディーノの鞭に叩かれたというランボとイーピンを抱き上げてあやしているうちになんとか事態は収束したようだが、ディーノの部下がいないとへなちょこになる体質はどうにかならないものだろうか。
 奈々さんに、風呂を壊したことへの謝罪をして、明日までに元通りに風呂を直すよう手配する。全ての後始末がつき肩を下ろしたとき、ディーノに腕を引かれ外に連れ出された。いきなりなにをするのだと睨みつけてもディーノはニコニコしていて、諦めて彼についていこうとすると、へなちょこディーノに巻き込まれ勢いよく転んだ。受け身の取り方は身に染みているので怪我はないが、また巻き込まれてはたまらないとディーノから距離を置く。

「悪い悪い」
「……私は慣れているからいいですけど、ボスは巻き込まないでくださいよ」

 ディーノと反対隣にいるボスに目を向けると、彼は一瞬驚いたように目を見開いた後お礼を言う。それから、これから銭湯に向かうのだと言うボスを見て、ようやくディーノが私を連れ出したわけを知る。きちんと説明をしてから連れてきてくれれば良かったのにとディーノに視線を向けても、彼は変わらず笑みを浮かべているだけだった。

121120
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