ハンター証

「先生、ただいま!」

 手に入れたハンター証を見せびらかすように持ち、家の入り口を開いた。笑顔で迎え入れてくれる先生に走り寄り、ハンター証を渡すと「頑張ったね」と褒めてくれる。
 先生とは毎日のように顔を合わせていたので、短い期間とはいえ会えなかったのは寂しかった。再会を喜びハグをすると、頭のてっぺんにキスをされる。

「そうだ先生。先生の名前教えて」
「? 急になに?」

 首を傾げる先生に、仲良くなった友人に先生のことを紹介しようとしたとき、先生の名前を思い出せなかったと言うと笑われる。改めて教えてもらった名前を何度も反復して、今度は忘れないよう記憶に刻み込む。「シャルナーク」そう呼ぶと先生の表情が緩み、私の名前を呼び返す。なんだかくすぐったくなって、顔を俯けた。
 慣れ親しんだ椅子に腰を下ろし暫く談笑を楽しんでいると、不意に真面目な顔をした先生が一枚の紙を取り出す。渡されたそれに目を通し、溜息を吐いた。

「これ、仕事?」
「そう。簡単だろ?」
「先生でもできる仕事じゃない」
「ヘンリーがやる方が早いからさ。よろしく」

 ハンター試験の恩もあるので無碍に断ることもできず、仕方なく了承すると先生は満足げに笑い、押し潰すよう私の頭に手を乗せる。口から出かけた不満を飲み込み、五枚ほどに纏められている書類に改めて目を通し、面倒そうな内容にまた溜息が出た。

130209
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