ハンター試験 ハンター試験を受けろと言われ船に乗り込んだはいいけれどこの男所帯はなんとかならないのだろうか。ワンピース姿の私は完全にこの中で浮いていた。 できる限り体を小さくして部屋の隅でおとなしくしていたのだが、ガタイの良い大人たちに絡まれビクリと肩が跳ね上がる。 「お嬢ちゃん、これからどこに行くかわかってるのかい?」 「君が行けるようなところじゃないんだよ。んん?」 「こんなところにいるとこわーい大人に絡まれちゃうぜ」 「それってお前のことじゃねえのか、ガハハ!」 下品に笑う大人たちから逃げようとすると腕を掴まれる。言いようのない恐怖に体が強張るも、ふわりと羽が舞い落ちるかのように現れた人物に目を奪われた。青を基調とした民族衣装に身を包んだその女性は私を庇うように腕を広げ、目にも止まらぬ早さで大人たちをロープで縛り上げる。流れるような一連の動作に見惚れていると、金色の髪を揺らす美しい女性がこちらを振り向いた。 「大丈夫か?」 「あ、ありがとう。助かったわ」 「なら良かった。……私はクラピカという。あなたは?」 「ヘンリーよ」 「ヘンリー……私もあなたにはこの試験は向いていないと思う。船長に交渉して降ろしてもらったらどうだ?」 手にしている武器を仕舞いながら言うクラピカに首を傾げる。ハンター試験ほど私に似合う試験はないと思うし、先生にもそう言われて来たのだけれど思い違いだったのだろうか。 急に自信がなくなってしまいへなりと眉を下げると慌てたようにクラピカが取り繕う。 「すまない。ヘンリーの事情も知らずに言い過ぎた。だが、本当に危険だからよく考えて決めるといい」 「うん、そうするわ。ありがとう、クラピカ」 自信はなくなってしまったがハンター証を手に入れて帰ると言ってしまった手前ノコノコ帰るわけにもいかず、結局揺れの激しい船に残ることにした。 120616 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |