適温37度

「土方さん、千鶴です」

「おう入れ」

「失礼します」



歳三付きの小姓である千鶴は入室の許可を得て室内に入る。



「お茶をお持ちしました」


茶をそっと歳三の文机の片隅に置く。



「いつも悪いな」

「いえ」



礼を言いながらも歳三は現在取りかかっている書類から目を離す事はない。



「あの…」

「あ?」

「少し休まれたらどうですか?」



千鶴は歳三があまりにも自分を追い詰め仕事をすることに対して心配してた。
歳三は一旦筆を止め千鶴の方を向く。



「気持ちはありがてぇが今は休んでられねぇんだ」

「わかってます…でも体調を崩されては意味がありません」

「俺の体はんなヤワじゃねぇ」



そう言うと歳三は再び筆をとろうとする。
しかしそれは叶わなかった。
千鶴がその歳三の腕を掴んで止めたからだ。



「何のつもりだ」

「少し休憩してくださるなら手を離します」



自分のいきすぎた行為に若干冷や汗をかく。
歳三は千鶴の瞳を見、千鶴は歳三の瞳を見る。



「はぁ…これだから江戸の女は」



歳三はやれやれという風にため息をつき手を筆から遠ざけた。



「少し休めばいいんだろ?」

「はい」



千鶴も歳三の腕から手を離した。



「全くお前には敵わねぇな」

「失礼な事をしてしまってすみません」

「許さねぇよ」



そう言うと歳三は千鶴の膝に頭を乗せる。



「ひ、土方さん!?」

「罰としてしばらくこうしてろ」

「……っ」



急な行動に自然と頬は桃色に染まる。



「分かりました」

「それでいい」



歳三は日頃の疲れかあっという間に夢の中へと落ちた。



「いつもお疲れ様です」



そんな歳三の頭を千鶴は優しく撫でた。




適温37度




―――
適温が37度というのは
自分の経験
20110221


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