「どうしてそう思うのかしら?この前だって有名な商家の方とお見合いしたんでしょう?」
「それは「勿論その方とは婚約したのよね?」
千歳の言葉を遮りお琴は興奮気味に身を乗り出してきた。
いつもの上品なお琴とは異なる行動だった。
「それがトシと一緒に行ったら失敗しちゃいまして」
参りましたと若干冗談まじりに告げるがなぜかお琴からは返事がない。
それどころかいつもとは違う雰囲気を感じたのだ。
「お琴さん?」
「歳三様が貴女のお見合いに付き添ったの?」
「は、はい」
いつもより低い声にビクッと肩が震える。
「そう、また次があるわよ」
そう言うと俯いていた顔がこちらを向き先ほどと打って変わって満面の笑みを浮かべていた。
「そうですね」
きっとさっきのは気のせいだと思い込み千歳はニコッとほほ笑む。