土方は申し訳なさそうに離れその場をあとにした。
千歳はただ今は泣く事しか出来なかった。
* * *
いつの間にか寝てしまっていたのか既に夕方になっていて井上が夕飯だと呼びに来た。
広間に行けば既に勇、土方、総司がいた。
「すみません、遅くなってしまって」
「いや、こちらも寝ていた所を起こしてしまってすまなかったね」
やはり井上さんは良い人だと思っていた矢先視線を感じた。
そちらを見れば土方がこっちを見ていた。
「―!」
千歳は勢いよく顔をそらした。
「どうしたの、千歳」
その行動に総司が不審がった。
「う、ううん…何でもないよ」
「ふーん」
総司はそう言ったきり根掘り葉掘り聞いてくる事はなかった。
「そうだ、千歳。」
「何ですか?」
勇が何か思い出したのか千歳に話を振った。
「千歳は今何歳だったかな」
「えっと……総司何歳だっけ?」
「16あたりじゃない?」
「16あたりだそうです」
「随分と曖昧だな」
いい加減な双子につい苦笑する。
「千歳ももうそんな歳だ。そろそろ嫁に行かせなくてはと思ってだな…見合い話を持ってきた」