03.緑の眼をした魔女


ククールのウザさをユウコは身に染みて実感する。
何がウザイのか。ククールがさっきから膝枕をしてくるのがウザイ。
ユウコは疲れきった足を組むことも出来ず、ククールの顔を肘おきにした。
林檎を食べたくなってきたユウコ。

「邪魔、ウザイ」

「ユウコが起きてくれたからオレ嬉しくてさ〜
だからニヤニヤしたい」

「は?
可愛い女の子をナンパしたらいいんじゃない?
私以外にいい人なんていっぱいいるんだし。
言っておくけど私、ギザな台詞ほど嫌いなものはないの。」

やけに冷たくされるククールはちょっとふて腐れたい気分になる。
ナンパやチャラい男が嫌いな女の子はいくらでもいるだろうが、そこまで嫌われる筋合いはない。
危ない橋を渡ってきたのだから少しぐらい惚れてくれたと信じてみたのだが、意味はなかったようだ。
しかもユウコは目をあわせてくれもしない。
ふて腐れたい気分にもなる。

「ねぇククール。私が死んだら悲しいかしら」

「当然だろ?
まさか自殺する気か。ちゃんと家に帰れるさ。
オレなんか死んだら兄貴が悲しんでくれるか分からないし。
あぁゼシカの胸を最後に拝めたかった」

ユウコが茶色の目を向けてきた。しかも冷たすぎる目で。
ククールはそこで疑問を感じた。
彼女の目は茶色だったか?
でこを肘で殴られたククールは跳ね起きた。
扱いの酷さに腹を立てつつ、外の雰囲気の変化に気づく。
厄介な来客ときたものだ。
兄貴たちがいない間を狙ったものだろう。
病み上がりユウコを抱えて逃げ切れるかと言われたら怪しい。

「気づいてたのか、ユウコ」

「さあ、どうかな。
気づいていたからってククールを起こす必要ないわよね。」

「あぁはいはい。で、オルフェアの町か?」

異質な気配がゆっくりこちらに近づいている。
このままでは家を吹き飛ばして来そうだ。
そうなったら兄貴がマジ切れしそう。
ククールはユウコを家の中に入れたまま、自分だけ外の住宅村に出た。
病み上がりに危ない目に遭わせたくはない。
僧侶という職に腹をたてながら、来客に目をやる。
紫のフードで顔も体も見えない。
ククールの勘からは女だと思う。
やりにくい相手だ。

「私が用があるのは家にいる女の子だけよ。
退いてくれない?」

「女の子の頼みは聞いてやりたいんだが、
片想いの女の子を売る趣味はあいにくないんだな」

「僧侶のあなたに何ができるの。」

ククールはあっさり言われてしまいちょっと悲しくなった。
確かに僧侶ですけど、言われる筋合いありませんし。
ひかりのタクトを構えたククールとレイピアを構えた女は、しばらく睨み合いを続けた。



早く来てくれよ、兄貴!!
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