02.魔法の羅針盤


美味しそうにお粥をたべられると、見ているこちらが食べたくなる。
何故か全員がお粥を食べる光景になった。
食べる必要性がかけすぎるマルチェロやエイトがお粥を食べるせいか、減りが早すぎる。
ユウコはなくなったお粥を残念そうに見つめた。
丈夫な腹をしている。本来なら入れるにはつらいものなのだが。

「それにしてもユウコちゃんはいつあんな魔法覚えたの?」

あんな魔法とは空間を繋げた扉のことだろう。
ユウコは水を飲みながらエイトをチラ見した。
あまり答える気はないらしい。

「死ぬ気になればやれるわ。
それよりこれで手がかりはないわ。
エイトくんは何かあるの?」

尋ねられているがあまり聞いていないエイト。
どうやらユウコが質問をそらしたことが不愉快だったらしい。
でも、エイトの笑みは明らかに次の一手があるときのもの。
横でマルチェロが紅茶をいれているが誰もみていない。

「グランドタイタス号。
レンダーシアという大陸にいきたいんだ。
二つの大陸の情報を手にすれば、必要なものが引っ掛かるかもしれない。」

「一人でよくやれたな、お前。
さすがリーダーだ。
でもグランドタイタス号ってレンドアの船だろ?
あれ確か、出航してたか?」

ククールの問いにエイトは即答した。

「レンダーシアに行くまでに迷いの霧が張られてるんだ。
だから魔法の羅針盤がないといけないらしい。
賢者ホーローが言ってた。
必要なものは【ときのけっしょう】と【まほうのせいすい】、【無限の磁力石】らしいよ」

なんだか金のかかりそうな話になる。
そうなると主導権はマルチェロに移行する。
金の有り余るエイトは財布をみせびらかす。
【ときのすいしょう】ぐらい、つか全部揃えてやりましょうか。そう言いそうだ。

「おなかすいたな〜
【ときのすいしょう】はロヴォス高地で拾えたよね、ククール」

「は?知らねぇ。
素材屋で買えばいいんじゃね?」

ロヴォスはレンダーシア大陸だ、ユウコ。

「ならバザーの方が安いだろうな。
マルチェロ、どうする?」

僕がお金を出すのに、と言わんばかりに悲しい顔をするエイト。
そんなエイトにアップルティーを寄越したマルチェロだったが、ユウコは見逃さなかった。
マルチェロがエイトに渡すアップルティーに白い粉を入れていたことを。

「マルチェロさん、僕が気づかないとでも?
今、アップルティーに何入れました!?」

「自白剤だが」

「え?」

「貴様が敵ではないとは限らんではないか!!」

なんだか話が先に進みそうになかった。
こうして丸一日過ぎたらしい。
[]   []
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -