15.女友達とスイーツ 1/2

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二日酔いというものだろう。酔うことも、それが原因で吐き戻すことも初めてだった。酔った際の記憶のない彼女は、ビッテンフェルトに迷惑をかけていないか気になったが尋ねる余裕がなかった。気持ちが悪い。ビッテンフェルトは「残りを口に指でも突っ込んで出してしまえ」と急かしている。間違いではないが、女としては願い下げだ。手間取っていると、ビッテンフェルトが予告なしに口に指を押し込んだ。酷い絵図ではないか。

「吐けたか。自業自得だ。これが嫌なら酒は飲まん事だな」
「うえ。そうですね、ビッテンフェルトと二人っきりなら飲んでもいいですか」
「ふざけるな」

なぜそこまで怒るのか。よほど酔った時の態度が腹立たしかったに違いない。カサンドラはさすがに反省した。今後は酒はノンアルコールで良い。
その翌日、彼女は久々に体重計に乗った。この世界に来てから体重を測っていなかった。ここに来る前は150cmに対し50kgの軽度の肥満体型。軍人生活が痩せへの一歩になっていればよい。背は伸びていない状態で太っていたら困る。この世界の女性は平均身長は高い。現代の日本女性の平均身長は下がり気味であったかな。
結果は51kgだった。腹の肉をつまんでみる。前ほどは悪くない。確か筋肉は脂肪より重かったはず。嬉しいような悲しいような気がした。軍人になった悩みというやつか。油断したらこの筋肉は脂肪になってしまうのだろう。ビッテンフェルトも老人になったら太るということか。考えたくはないが、適度に運動をさせるとしよう。
こうして次の休日をカサンドラは、無駄な糖分は控えようと決めた。そもそも甘いものが嫌いな彼女には意味がない心構えだ。
上官のビッテンフェルトは休みが少ない分、彼女は一人で暇を持て余していた。町に出て見たが行きたい場所もなく途方にくれていた。

「うぼぁ〜」
「・・・・・・」
「あの時のおねぇさんだ」

いつぞやの貴族の娘さんのようだ。こんな街中を一人で歩き回るとは、変わり者だ。身長はカサンドラより多少高い程度。どうでもよかったが、なんだか腹が立った。
娘さんは同じく暇と格闘していたらしい。その先で見つけたので話しかけたという。群れる事は好まないが、暇つぶしになるならお供しよう。

「この近くにスイーツバイキングがあるだ、行こう!!
私はヒニアス・フォン・マーティルダ。なんとでも呼んで」
「ふぅ〜私はカサンドラ・メルツァー
あいにく甘いものは嫌いで」

しかし、甘いものが嫌いだろうと容赦なく店に引っ張られた。どの時代でも女のスイーツ好きは変わらないようだ。ところで、ヒニアスと言われたらヒーニアス王子を思い浮かべたのはカサンドラだけだろうか。「助けて、エイリーク」は有名なネタだな、と思うカサンドラであった。
まず突っ込むべきは、マーティルダの読みはマティルダが正解ではないのか、という点だろう。
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