11.食文化 主にビール編 1/2

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宇宙暦795年/帝国暦486年9月11日 第4次ティアマト星域会戦と聞いたものの、この世界に来てからどれ程経ったのかは正確ではない。帝国歴485年に足を踏み入れたことが唯一正確に知っていたこと。彼女には関係ないが、ラインハルトがミューゼルの姓で挑む最後の戦いである。本編の始まりが近い事を意味しているが、彼女の頭は別方向へ進んでいた。
ここのベースは結局何だったのか。つまり、この世界はどの銀河英雄伝説を基準にしているのか。今のところ、ヤングジャンプコミック藤崎 竜版ではないように見えた。ビッテンフェルトとオイゲンの仲の良さは道原版に近い。軍服はOVAといったところか。ヒルダが男装女子なら大笑いしてしまいそうなカサンドラは、藤崎 竜版がベースではないことを祈った。ここに来た時点では7巻までしか出ていない。先を読んで行動するという利点がなくなれば、あっさり死んでみせる要らない自信があった。

「もう、リメイクは結構よ。リメイクにリメイクを重ねて別ゲー化するファイファンみたいに
ファイファンはマイナーな言い方だったかな」

買いたい衝動に駆られる原作やオリジナルマニアの懐事情を呟くと、ビッテンフェルトが不安そうにやってきた。彼女はフライパン片手に首をかしげた。まだ料理は出来上がっていない。お腹を空かせた獣は危ないと言うが、ビッテンフェルトも同じだろうか。
ビッテンフェルトは彼女の思考を無視して皿に乗った“ソレ”について尋ねた。

「あぁ、野菜を炒めようとしたら、焦げてしまって」
「キャベツの芯までか?」
「ここの火力がメラガイアー(超強火と言いたいらしい)なんですよ。
別に醤油のタイミングを誤って燃やしたわけではなく」

空になった醤油のボトルについて追及はしなかった。しても良いが、フライパンで悔しさを紛らわすために殴ってきそうだ。
誰が見ても食事にありつけそうにない状態に、ビッテンフェルトが提案した。外食をするしかない。このままでは、食材がなくなるまで続いてしまう。二人の食事事情は苦労が絶えないようだ。
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