クリスマスパーティ

クリスマスパーティの件をセブに話してみた所、リクが行きたいなら行ってみるか。という事になり、無事に行く事が決まった。社交界の場とか、セブは苦手じゃないの?(ぶっちゃけ大半が闇の魔法使いさん方の集まりな訳だし)と訊いてみた所、たまにはいいだろう、と言って頭を撫でてくれた。娘に甘いね!そんな優しいセブが大好きだ!

そうして迎えたクリスマスパーティ当日。セブが挨拶に回る…もしくは挨拶されるので、私もセブと一緒に付いて回る。御紹介に預かれば、ドレスの裾を掴んで笑顔で挨拶を返す。以後お見知り置きを〜。ちゃーんとパーティー会場での淑女の礼儀作法から嗜み方まで一通り調べて練習してきたからね。セブも誰かと自慢気に話をしてるみたいだし。主に娘の自慢話を。セブが楽しそうで何よりですが、私としては恥ずかしいやら嬉しいやら……と、ムム!このローストチキン、かなり美味いぞ!?セブにも勧めたら、確かに美味しいなと喜んでいた。貴方の笑顔で私の胸は幸せでいっぱいです。でもお腹の方はまだデザートが入る余裕があるので、次はケーキを狙っています。



「リク!来てくれたんだな」

『あ、ドラコ!』



取ろうとしていたケーキに後髪を引かれながらも、お皿を置いてドラコの許へ、ととと…と小走りで向かう。彼の前まで辿り着いた所で、ドレススカートの裾を少し摘み、軽くお辞儀をする。



『今宵は素敵なパーティーにお招き頂き、感謝致します、ミスター・マルフォイ』

「ああ…。その、堅苦しいから、いつもの様に喋ってくれ」

『えー…せっかく頑張って背伸びしてみたのに』



改まって挨拶したら、ドラコに苦笑された。何だよーせっかくこの日の為に練習してきたのに。それとも、愛想笑い(似非淑女スマイル)が胡散臭すぎたかな?



「…ドレス姿、似合っているじゃないか」

『ふふ、有難う。ドラコの正装姿も、凄く似合ってて格好良さ倍増だね』

「っ…!」



このドレスですが、実はセブが選んでくれたんだー!髪のセットもちゃんとアップで髪飾り付きで綺麗に纏められてるし。屋敷しもべ妖精ってマジ万能過ぎ。あと首飾りは、誕生日に貰ったものをつけてます。この首飾りが映えるドレスをチョイスし、且つ私に似合うデザインを外さず選び抜いてくるとは。彼の愛が成せる偉業だね!全体的に蛇寮カラーなのはセブの好みだろう。



「ドラコから聞いていた通り、可愛らしい御嬢さんじゃないか」

「ち、父上っ!」



おやまあドラコってば、私の事をそんな風にルシウスさんに話してくれていたのか。照れてるドラコの反応が実に可愛いですね。そうして現れたパーティの主催者マルフォイ父ことルシウス氏と、セブが挨拶を交わしている。私も社交辞令に則り、セブに促されたので挨拶と軽い自己紹介を交わしておいた。礼儀正しいお嬢さんだって褒められたー。やったね!



「いつも息子と懇意にしてくれているそうだね。君の事は息子から色々と話に聞いているよ。父君に似て勤勉家で、魔法の才も秀でていると」

『勿体無いお言葉です、ミスター』



色々と…ね。含みがある気がするのは、お転婆な点を揶揄している為か、私自身に後ろめたさがあるせいか。今日はせっかくパーティーに来て頂いたのでね、と言って息子の背を押すルシウスさん。



「良ければうちのドラコと一緒に踊ってやって貰えるかな?ミス・スネイプ」

『はい。もちr…』

「父上!余計な事をしないで下さいっ!」

「おっと、これは失礼。立派な紳士がいる前で、少々出過ぎた真似をしてしまった様だ」



苦笑するルシウスに、ドラコは恥ずかしそうに父親を睨んでいる。成る程、小さくてもやはり彼もまた英国紳士という事か。ドラコはゴホンと咳払いをした後、改めて私へと手を差し出してきた。エスコートしてくれるらしい。



「…ミス・スネイプ。僕と一曲お相手願えますか?」

『ええ、ミスター。喜んで』



ドラコの手を取り、社交ダンスを踊る人達が集まっているホールの中心部へと向かう。クリスマスソングが流れる中、私とドラコもその輪の中に入って踊り始めた。



「…何だ。普通に踊れるじゃないか」

『ちゃんと練習してきたからだよ』



見よ、この華麗なるステップを!ふふふ、涙ぐましいヴォルとの訓練を終えて、何とか習得したのよこのダンス!何度ヴォルの足を踏んだ事か。その度互いに怒って私が逆ギレして何度魔法合戦になり掛けた事か…。



「(本当に。よくここまで上達しものだなぁ…グスン)」

『(え?これってそんな泣く程の事?)』

「(全く。何度お前に足を踏まれた事か…)」

『(もう一回踏んであげようか?)』

「(俺にそっちの趣味は無い)」



取り敢えず、ヴォルの事は放っておいて。今はドラコとのダンスに集中する。彼の足まで踏んじゃったら可哀想だしね。くるくると回っていたら、ルシウス氏と話中のセブと目が合って微笑まれた。後からセブとも踊りたいなーよし踊ろう。ふと気付くと、セブ以外の周囲からも何だか生暖かい視線を注がれている様だった。年の近い子供達が仲良く踊っている様子が、微笑ましいのかもしれない。注目されて少し緊張してたけど、少しずつ慣れて緊張も溶けてきたら、段々楽しくなってきた。ドラコも満更でもない様で、楽しそうだし。きちんとエスコートしてくれている。うん。頑張ればダンス社交界デビューも夢じゃない!?



「…来年も…」

『え?』

「来年も、来てくれるか?僕のダンスのパートナーとして」

『…私で良ければ、喜んで』



ほっとした様子で笑うドラコに、私も笑顔で答えた。これは来年の御馳走ディナーも楽しみだ。



「(最後まで色々と台無しだな。というより、今のはある意味……)」

『(ちょ、何あの素敵過ぎるドルチェ!?ねぇヴォル、私の魔力ちょびっとあげるから実体化してアレ取って来ておいてよ!)』

「(本当に台無しだなオイ)」




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