冬休み

最近、ハリー達とは疎遠気味だ。クィディッチでの一件以来、気まずいのか、はたまた警戒されているのか、向こうから避けられてる感じ。ハリーとはこの間廊下で会った時に少しだけ話が出来たけどね。あの時もハリーが微妙に余所余所しい反応だったけど、やっぱり二人から話しに聞いて、私とセブの事を疑っている節があるのかもしれない。

そのせいか、最近のドラコは割と機嫌がいい。私が彼等と接触する機会が激減して、ハリー達がドラコの視界に入る事が減ったからだろうか。あと、その分ドラコ達に構っている時間が増えた事も、要因の一つかもしれない。分かりやすくて可愛いデコ坊っちゃんだと。冬季休暇で帰省する彼を見送りながら、リクは笑う。



「リクはホグワーツに残るのか」

『うん。冬休み中もセブは学校に残るから、私だけ帰っても暇だし。あ、でもセブも期間中に休暇を取るらしいから、それで家に帰る時は私も一緒に帰る予定だよ』



おそらくクリスマスはホグワーツで過ごす事になるだろう。仮にセブが帰るにしても、年明け後の短期間位じゃないかと思う。

すると、何を思ったのか、ドラコは少々考える様な仕草を見せた。何か、気を遣わせる様な事を言ったかな?むしろ今の私は我ながら超絶笑顔で語ってたと思うのだが…何か気に病む様な事を言ったかな?



「……マルフォイ家主催のクリスマスパーティーを開くんだ。是非、君と教授にも来て欲しい」



手渡されたのは、上質そうな封筒で。封を開けてみると、中に入ってえたのは招待状だった。曰く、彼の父上と母上が私に会いたいと言ってるそうな。ルシウスか…とヴォルも懐かしそうに呟いてる。

ちょっぴり行きたい気もするけど、どうなんだろう。教授であり元死喰い人なセブは兎も角、私の待遇ってどうなるかな?何気に半純血だし、マルフォイ家主催とか純血主義の魔法族名家祭だろ?養女だし、何処の馬の骨ってなりそうだよ。

否、セブの家柄が純血主義のプリンス家だから、その筋で引き取られた娘だって話を通してそうだ。ポッター家の息女ってのはあくまでトップシークレットな訳だし。まぁ知ってる人は知ってる、危うい重要秘密だがな!

そんな感じに、どうしょうかなーと内心渋ってた訳だけど。ドラコをチラ見したら驚いた。



「…嫌なのか?」



そう問うてきたドラコの表情は、何処となく不安そうな顔をしていた。僕が誘ってるのに、断る気かと。自信満々に返してくるかと思えば、ちょっぴり意外な反応だった。普段とのギャップ萌えってやつだね。



『えっと、嫌とかじゃなくて。パーティーに誘われたのなんて初めてだから、どうしたらいいのか分からなくて…』



はてさて。これは一体全体どうしたものか。せっかくドラコの厚意を無下にしたくないし、私自身特に断る理由も無いのが現状だ。ということで、取り敢えずは彼に今の素直な気持ちを伝える事にした。



『…正直に言うと、行ってみたいのが本音。でも、不慣れな場で何か粗相をしたら、招待してくれたドラコの顔に泥を塗る事にもなるし…』

「…何だ。そんな事を心配していたのか」



そんな事とは何だ。これって結構大事な事だと思うぞ?万が一粗相をしでかした場合、ドラコだけじゃなくて父親のセブにまで迷惑が被るし、私の所為でセブの品格が疑われてしまうのは避けたい。魔法界でどこまで私の存在が伏せられているのかは知らないが、ルシウス氏程の権力者とくれば、私が何者であるかを知っていそうだし。その場合、私が半純血で半分はマグルの血筋だと、純血主義共から貶される可能性がある。何より、あの闇の帝王を倒した英雄の片割れ、って認識されていたら、さらに面倒そうだ。そんな事を考えていたのだが…



「客人として招くんだ。マルフォイ家の名に掛けて、リクに不快な思いはさせないさ」

『!』



英国紳士!ちっちゃいけど彼もまた魔法貴族の中でも名家な英国紳士だったわ!ドラコの癖にカッコいいじゃないかこの子!



「それに、君なら大丈夫だ」



その信頼と自信は一体何処から来るのでしょうか。私を安心させる為か、ドラコはそうはっきりと言い切ってくれたので、それなら…と私も思わず頷いてしまった。私が頷いたら、ドラコはホッとした面持ちになり「当日を楽しみにしてるよ」と言って、彼は帰って行った。…うん。ドラコって、やっぱりイケメンだったのね。今の笑顔は凄く輝いてたよ、彼のデコ並に。



「(マルフォイ家の事だ。おそらく、余興にダンスパーティーも催してくるぞ)」

『(マジで!?私踊れないんだけど!?どうしょうヴォル!助けて!!)』

「(……今夜から特訓だな)」


とりあえず、まずは図書室でダンスの手解き本を探して、夜は早めに就寝して精神世界でヴォルに実践練習をお願いしよう。


――――――――ーー
イギリスの文化とか詳しく知らないけど、多分クリスマスパーティの余興にダンスパーティはぶっ込んでこないんじゃないだろうか。じゃあ何で入れたんだよと聞かれたら、単に私が入れたかったからに決まっているじゃないか!!

炎ゴブ編まで待て無かったのさ←


 

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