少女の日常


「(リク、起きろ。そろそろ時間だぞ)」

『(嫌だ。あと五分…)』

「リク、起きなさい。もう時間よ」

『ん、おはようパンジー』

「(何なんだその反応の違いは)」



私の1日は、毎朝ヴォルとルームメイトのパンジーに起こされて始まります。ヴォルは兎も角、パンジーは意外と世話焼きだと同室になって初めて知りました。蛇寮生ってイメージが強くて、どうしても粗悪な態度の印象があったんだけど、どうやらそれは他寮(特に獅子寮)に対してのみらしく、身内内ではそうでもない様子。ちなみにフォイフォイの傲慢知己な態度は変わりませんが、此方も身内の陰口はあまり叩いてません。ていうか、ハリーやロンやらネビルと穢れた血の陰口が大半。穢れた血、ねぇ……おや?気付けば話題が大きく逸れてしまった様だ。



「さ!朝食へ行きましょ……ってリク!髪はちゃんと櫛でとかしなさい!!」



テキトーに手櫛で済ませようとしたらパンジーに見咎められて部屋に逆戻り。パンジーは時間を掛けて綺麗にとかしてくれました。アレ?パンジーって実はオカン?



「リクの髪って本当に綺麗よね。私は黒髪だから、羨ましいわ」

『有難う。でも、パンジーの黒髪も素敵だよ』



癖毛じゃなくて良かったと個人的に思う。もしジェームズに似たらハリーみたいな癖毛になってたろうからね。リリー似で本当に良かったと思うよ。本当に。

私も前世が黒髪黒目の純日本人だったからね。その頃は染めたりもしてたけど。



『黒髪はどんな色の服にも合うし、お淑やかな女性のイメージもあって、かなり魅力的なんだよ?』

「そ、そうかしら…?」



照れてるパンジーは可愛いです。もっと高慢ちき(所謂ツン全開)かと思ったけど、素直で可愛いです。大事な事なので二回言いました。

…と、毎朝何かとこんな感じのやり取りをするのが日課なリク・スネイプです。パンジー曰く、誇り高い蛇寮生なんだから、身なり位きちんと整えなさい!野蛮な獅子寮じゃあるまいに。との事で。ここで蛇寮生の自覚って?なんて疑問を口にしようものなら、更にお説教が続きそうなので言いませんくてよ。



「全くリクったら……毎朝そんなんじゃ、スネイプ教授が悲しまれるわよ」

『セブは勉学以外は意外と大目に見てくれるから大丈夫だよ』

「(それって既に諦められてるって事じゃ…)」



そんなパンジーの心の声などリクは露知らず。上品にサラダを食すパンジーの隣で、リクはご飯(日本米)に味噌汁にだし巻き卵に焼き鮭と、質素ながらも豪勢で純和食な朝食を取っている。ちなみに食材は海外輸入品をホグワーツに持ち込み、調理場にいる屋敷しもべ妖精達にお願い&調理法を仕込んで、時々こうして作って貰っているのだ。ジャパニーズフード・ラブ!私は日本食が好きだ!愛してる!だから、ヴォルも日本食を愛する巾だよね?俺はフィッシュ&チップスでいい。流石イギリス人!っていうか闇の帝王(元)ともあろう人物がフィッシュ&チップスだと…!?色んな意味で驚愕を隠せないリクである。

我が君がフィッシュ&チップスを御所望だ…!何だか闇の陣営から脱退したくなるね。条件としてアバダ確実はだろうけど。

余談になるが、前に納豆を持ち込んだ時にそれは人間の食べ物じゃない!ってパンジーやドラコにとどまらず他の知らないスリザリン生徒(先輩陣も含む)からも真っ向否定されたので、泣く泣く我慢してます。腐らない様に真空パックならぬ時空パックの魔法を駆使して鮮度を保って保存しているというのに……いつになったら私は納豆を食べる事が出来るのさ!?

ちなみに。今の私は前世の純日本人な容姿とは異なり、赤毛にイギリス人的な顔立ちなので、日本食を食べてると強烈な違和感があるらしい。当たり前か。でも、好きなモノは好きなんだからしょーがない!



『という事でドラコもだし巻き卵を食べてみなよ。美味しいぞ』

「どういう話の流れでその結論が出たのかは知らないが、僕は遠慮し…『隙あり!』むぐぐ」



ドラコの口に卵焼きを突っ込んであげた。美味しい…って呟き、驚いた顔をしている。美食国家日本を東の島国と侮るなかれ!

嗚呼、それにしても。毎日が平和過ぎて本当に夕食時にはトロール騒動があるのかって疑いたくなる位に平和だ。

 

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