Outermost world

ロンが自分のお兄さんの話を始めた頃、またしてもコンパートメントの扉がガラリと開いた。ネビルといいハー子といい、訪問者が多いコンパートメントだな……と思いつつ扉の方に視線を向けると。



「本当かい?このコンパートメントにハリー・ポッターがいるって、汽車の中じゃその話でもちきりなんだけど。それじゃ、君なのか」



あぁ、今度はフォイフォイ軍団……間違えた。ダドリー軍団と混じった。いや、あながち間違いでもないし別にいっか。兎に角、訪問者はフォイフォイ家の坊っちゃんことドラコ・フォイフォイだった。

…あ、正しくはフォイフォイじゃなくてマルフォイだった。今のは素で間違えてたわ。フォイフォイ家とか、例え格式あっても何かちょっと嫌な家名だよね。良かったのか?フォイフォイついて来て……ルシウス・フォイフォイ、いつからお前は兄貴になったんだ!?否、それともここはGホイホイと語呂が似てる所にツッコミを入れる巾か!!?



『(……ちょっとヴォル、ツッコミ位入れてよ。ボケ過ぎて収集がつかなくなってるじゃんか)』

「(知るか)」

「…おや?君もこのコンパートメントに乗っていたのか」



もう一人いる事に気付いたというかそれが私だったと気付いたらしい。久し振りだねデッコリーン☆ダイアゴン横丁で出会って以来だね!



「そういえば、あの時君の名前を聞いていなかったね」

『おっと、これは失礼。私はリク。リク・スネイプ』

「ミス・スネイプ…?ひょっとして、ホグワーツの魔法薬学教授の…?」

『うん。セブルスは私の父だよ』



ふむ、やはりドラコは知ってたか。セブの事はある程度ルシウスから聞いていると見た。何だかロンまで驚いてるし……あれ?そういえばロンにはまだこの事は言ってなかったっけ?

私がセブの娘だと知った途端、フォイフォイの私を見る目が変わった。この辺がスリザリンの生徒らしいよね。抜かりないというか分かりやすいというか。



「僕の父上と教授とは懇意の仲でね。もしこの先困った事があれば、いつでも僕に相談してくれて構わないよ。それと、聡明な父上を持つ君には、忠告するまでもないかもしれないけど……ミス・スネイプ。君も付き合う人間は選んだ方が良い」

『有り難う。(ツッコミの相方を選ぶ的な意味で)肝に銘じとくよ』



フォイフォイはチラリとハリーとロンの方を一瞥した後、私に対しても手を差し出してきたので、私は彼の手に先程購入したんまい棒っぽいお菓子を持たせてあげた。彼の手を取らなかった為か、フォイフォイに何とも言えない微妙な顔をされた。



「……お近づきの印のつもりなのかふざけているのか判断しかねるが………一応受け取っておくよ」



ちなみにこのんまい棒モドキ、新商品らしいけど味が激マズで微妙だったんだ。美味しさが売りとは限らない、ユーモラスに富んだ点は流石魔法界のお菓子!とでも評価すべきか。しかもまだ一本余ってたんだけど、もう食べたくなかったからプレゼント・フォー・フォイフォイしてあげたのだ。勿論フォイフォイが言ってた様な両方の意味も込めてますが、何か?



「(…お前ってさりげに酷いよな)」

『(褒めてもんまい棒は出ないぜ☆)』



ちなみにクラッブとゴイルに関しては物凄く羨ましそうな顔をしていたがスルーしてやった。餌付けするのはフォイフォイだけで良いし。



「ポッター君も、ミス・スネイプの様にもう少し礼儀を心得ないと、君の両親と同じ道を辿る事になるぞ」

「(今のは礼儀を弁えていた…のか?)」

『(少なくとも喧嘩ごしではなかったでしょ?)』



ハリーの様にはっきりとした拒絶でもなく、かといって完全に肯定した訳でもなかったが。それなりに当たり障りなく、角が立たない様、のらりくらりとかわせる程度に大人な対応をしたつもりだ。決してまどマギの杏子を意識した訳じゃないのよ!



「君の両親も、何が自分の身の為になるかを知らなかった様だ。ウィーズリー家やハグリッドみたいな下等な連中と一緒にいると、君も同類になるだろうよ」



類友ってヤツだね。てか、今のは厳密に言うと微妙に私も含まれる事になるのだが…そこまでの諸事情は彼等が知る由もないから仕方が無い。

一方で、ハリーとロンが立ち上がった。ロンに関しては顔が髪と同じ位赤くなってる。



「もう一回言ってみろ!」

「へぇ、僕達とやるつもりかい?」

「今すぐ出ていかないならね」



怒鳴るロンをフォイフォイがせせら笑い、ハリーもきっぱりと言い放つ。おぉ、子供同士の喧嘩現場に遭遇するなんて、随分久し振りで何だか新鮮だ。



『(よしヴォル、賭けをやろうよ。私はハリー達の勝利にんまい棒一本を賭ける!)』

「(いや、そこは喧嘩を止めろよ。て言うかんまい棒とやらはもう無いんじゃなかったのか?)」



止める気などサラサラ無く、傍観を決め込む気満々だったのだが……まぁ、彼等の勝負(?)の結果は言わずもがな。子供同士の喧嘩に横槍を入れたおっさんが勝利したという。取り敢えずおっさんことスキャバーズはロンのペットだから、この勝利はハリー達の勝利って事で良いよね?はい。文句がある奴は全員黙るフォイ。

 

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