聖獣の森(11/12)

私が介入した事によって、色々原作とは変わってきてる。

とはいえ、預言は簡単には曲がらない……その言葉の通り、ライガとは戦わずとも、ミュウが仲間になった。

多少の違いはあれど、まだまだ筋書き通りの大きな流れからは逸脱してはいないという事か。預言を覆す事は、やはり容易な物ではないらしい。

けど、ある程度は筋書き通りじゃないと私も困るから、これ位の誤差なら……まだ許容範囲内かな。



「お?あの子、お前の護衛役じゃないか?」

「はい、アニスですね」

「お帰りなさ〜いv」



森の入り口にまで戻ってきたルーク達は、そこで再びアニスと合流した。アニスが自分達の傍に来るのを待って、ジェイドは笑みを浮かべた。



「ご苦労様でした、アニス。タルタロスは?」

「ちゃんと森の前に来てますよぅ。大佐が大急ぎでって言うから特急で頑張っちゃいましたv」



アニスがあどけなく微笑むのとほぼ同時に、木々の陰から明らかに武装しているマルクト兵達が続々と現れ、ルーク達はあっという間に取り囲まれた。

イオンは、ジェイドの背に匿われるようにして、既にアニスと一緒に傍を離れている。…対応が早いね。



「おい、どういう事だ!」



腰にある剣へと手をやりながら、ルークが怒鳴る。が、ジェイドはそれを全く無視して兵達を向いた。



「そこの者達を捕らえなさい。正体不明の第七音素を放出していたのは、彼らです」

「ジェイド!彼らに乱暴なことは…」

「ご安心下さい、導師イオン。何も殺そうという訳ではありませんから。……彼らが暴れなければ」

『あの……ちょっと待って下さい。ちなみに何で私まで囲まれているんですか?』

「すみません。イオン様と同じ導師様といえど、ダアトからのスパイという線も捨てきれないもので」



一瞬、それはアニスだ!と思わず言いそうになってしまった。…危ない危ない。



『……濡れ衣です』

「そうである事を願いますよ。しかし、話を聞けば貴女はイオン様を探してエンゲーブまで来たそうではありませんか。疑うには十分な理由になり得てしまいます……それとも、サク様は自身が無実である事を証明出来ますか?」



完全に疑われてるし。イオンとの扱いの違いは何だという位。導師といえど第二だから?それとも守護役をつけてないから?

何にしろ、これじゃあダアトとキムラスカへの敵対行動と見なされるぞ………って、そんな事を言ってる場合じゃないか。



『証明ですか……あぁ、そういえば。まだ私がイオンに……あなた方と接触しようとしていた目的を話していませんでしたね』

「ええ。なので、その辺の詳しいお話も、タルタロスの中でお聞きしましょう」

『……ピオ君に言い付けてやる(ボソッ)』



証明出来るか訊いといて、此処で説明させる気はなしかよ!最後の呟きに関しては、かろうじて聞き取れたらしいジェイドが、ほんの一瞬怪訝そうな顔付きになったが……直ぐに笑みを張り付けた。

私とジェイドが話してる間に、ルークは剣の柄にかけていた手を放していた。この状況では懸命な判断、かな。そうしてルークとティアの二人にも抵抗する素振りがない事を確認し、ジェイドは満足そうに頷いた。



「いい子ですね。――連行せよ」



ジェイドの生台詞にうっかり萌えてしまった私は、悪くない筈だ。



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