聖獣の森(12/12)


「仲間に迷惑をかけた分、ボク、頑張るですの」

『…ミュウも責任を感じてるんだね』



チーグルの巣を出て、エンゲーブに戻る道すがら、今後の意気込み(?)を語るミュウにサクは言った。

ちなみに、筋書き通りだと、イオン達はチーグル族の長老から事情を聞いたりした結果、ライガクイーンと交渉する事になり、ミュウが通訳に寄越されていた。

今改めて思うと、何だか、通訳代わりという名のミュウへの死刑宣告の様な気がしてならない……もし交渉が失敗した時には、そうなるのだろうけど。とはいえ、そもそもの原因を作ったのはミュウなので、ミュウにも責任はあるのだが。



「みゅう…ボクのせいでライガさん達も、ボクの仲間にも……沢山迷惑を掛けてしまったから…」

『……ミュウは偉いね』



ちょこちょこと皆についていく為に必死に歩いていたミュウを、サクはひょいと腕の中に抱き上げ、袋状の耳をつついてみる。少し擽ったそうに耳をパタパタ揺らす仕草がまた愛らしい。



「サクさんは、ライガさん達とお知り合い…ですの?」

『ん〜…そう、なるのかな?ライガと仲が良い友達繋がりで』



友達の友達は皆友達という理論でいけば、間違いなく。



『今回は私がライガクイーンと話をつけてきたけど、本当なら、ミュウ達がライガクイーンの所へもう一度ちゃんと謝りに行く巾だったかもね…』

「みゅうう……ごめんなさいですの…」



謝る相手が違うよ、と言ったら、ミュウはしゅん、と再び項垂れてしまった。ちょっと厳し過ぎたかな…?と、サクは苦笑する。

とはいえ、今クイーンの所へ行っても、神経を逆撫でするだけだろうし。謝ったからといって、簡単に許される訳でもないし。



『……けどさ、ミュウは自分のやってしまった事をちゃんと反省してる。それに……此れから頑張るって決めたんでしょ?』

「はいですの」

『過去を悔いてるだけじゃ、何も始まらないからね。…私は、此れからのミュウの頑張りを応援するよ』

「!分かりましたですの!ボクは、此れから一生懸命頑張るですの!」



本当に、ミュウはいい子だ。真っ直ぐで、純粋で、頑張り屋で。

そんな直向きなミュウが全て悪いのかと言うと……きっと、それは違う。

筋書き通りの展開を思い出し、チーグル族の言い分を聞いていて、少し思ったのだ。

そもそもソーサラーリングを与えたのは人間だ。そのリングでチーグルの子供が誤って火事を起こし、縄張りを燃やされたライガがチーグルの森に移住。ライガの卵が孵化すれば、ライガ達は餌を求めて人間が住むエンゲーブを襲うだろうから今の内に駆逐してしまおう。

この中で一番悪いのは………身勝手な人間ではないだろうか、と。

本来の食物連鎖の形を一番壊してるのは、間違いなく……私達人間だ。



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