ライガクイーン(6/6) ライガクイーンとの交渉も無事に済み、クイーンに別れを告げた一向は、森の出口を目指して来た道を引き返していく。 『アリエッタは……多分、近いうちに六神将全員召集が掛かると思うから、この後ダアトへ戻って貰えるかな?』 「?サクは?」 『私は……他にちょっと行きたい所があるからさ』 アリエッタはサクの導師守護役なのに……と、残念そうなアリエッタの頭を撫でてやりながら、思わず苦笑する。 『クロノも今は極力出歩かない方が良いし、フレイルはクロノの護衛をお願い』 「!しかし、そうするとサク様の護衛は誰が…」 『今からはちょっと一人で動きたいから、護衛も無しの方が人目に付かなくて都合が良いの』 その為に今回シンクにも内緒で"導師様はお忍び"で来てる訳だし。移動には船とか馬車を使うし、不届きな輩に襲われても余裕で返り討ちに出来る自信もある。だから心配しなくて大丈夫だよ〜、と心配症なフレイルに笑顔で返す。 「へぇ……サクが動き始めるって事は、もうすぐなんだ。例のアレ」 面白そうに、かつ不敵な笑みを浮かべるクロノ。彼の言わんとしている事を察したフレイルも、表情が少し強張ったように見える。 このメンバーの中では唯一、何の事かを知らないアリエッタは、首を傾げているが。 そんな彼らに、サクはクスリと肯定を示す笑みを浮かべる。 『そうだね……』 ヴァンの計画も、ルークの旅や仲間との出逢いも、全てが動き始める始まりの日は、もうそこまで近づいて来ている。 そして私は、物語が始まるより一足早めに、本格的に動き始める。 私が知る物語の未来を、預言を、覆す為に。 『始まるよ、もうすぐ』 期待と不安に胸を膨らませながら、サクはグッと音叉を握り締めた。 *前 | 戻 | 次#
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