彼等との遭遇


「オイ、お前。こんな所で何してんだよ?」

『へ…?』



頭を抱えて悩んでいた所を後ろから声を掛けられた。反射的に振り返った私は、声を掛けてきたと思われる人物達を見上げて思わず固まった。



『(ルークだ…)』



背中に流れる朱から金色のグラデーションがかった長髪。明らかに不機嫌そうな表情。

断髪後の彼を見慣れていた私には、少し懐かしさを感じた。



「オイ、お前!聞いてんのか?」

「ルーク、そんな乱暴な尋ね方じゃ…」



無反応な私に苛ついたらしく声を荒げるルーク、とそんな彼を宥めるティア。わぁ、生ルクティアだ……とそれだけでも感激していた自分の脳裏に、ふとあの最期のシーンが蘇る。

月をバックに現れた長髪姿の彼……ルークなのかそれともアッシュなのかは明らかにされていない。けれど、彼は言った。約束したからな。仲間達との…ティアとの約束を果たす為に、帰って来た彼は確かにそう言ったのだ。



『っ……お帰りルークゥゥウウウ!!!』

「「「「―――…Σ!?」」」」



感極まった私は、ひしっというよりもガバッとルークに抱き着いてやった。まだアニメの最後を見た余韻が後押ししたようだ。

畜生、この腰許なんかマジで犯罪級のエロスではないか!!皆が狙うのも無理は無いぜ!!←



「な…!?ちょ、は…離せよ!つーかお前誰だ!?何で俺の名前を知ってんだよ!!?」

『あ』



し、しまったぁああ!感極まってついルークに抱き着いた上に失言までしてしまった!此れじゃあもう取り返しがつかな……否、まだ取り返しが着くかもしれない!ここは一か八か……ニヤリと内緒ほくそ笑む。



『……覚えて、ないの?』

「!っ…」



残念そうな表情でルークを見上げると、彼は途端に何処か気まずい表情になる。ああああごめんなさいルーク!嘘です!過去に貴方と会ってなんかいません!アッシュと会ってませんからあああ!



「おや、どうやらルークの知り合いのようですね」



……しまった。ルクティアに感激し過ぎてて一番危険な存在を忘れていた。大佐(コイツ)も居たんだった。ジェイドは腹黒いからこの手の私が思い付くような嘘なんて絶対通じる相手じゃないよ!さっきの発言はルークの名前を呼んじゃった以上に不味い。ルークは兎も角、彼にルークとの馴れ初めとかを根掘り葉堀りツッコまれたら一貫の終わりだ。不味い…非常に不味いぞ!これは不味過ぎる!



「珍しい服装ですが……貴女は何者ですか?しかも怪し気な玩具を持って…」



怪し気な玩具!?譜業ではなくあえての玩具!!?な、なんて卑猥な響き!!恐るべし子安ボイス!!うっかりときめいて吐血してしまう所だった。危ない危ない。「鼻血と涙を流す人なんて初めて見ました」な〜んて類いの嫌味を言われながらディストを見る様な目で見られる所だったze……あれ?私っていつからM属性に…



ガサガサッ

「!皆さん気を付けて下さい、魔物ですっ!!」



その時、ちょうどタイミングが良いのか悪いのか、イオンの言う通り(Σうわっ、生イオン可愛いっ!!服装も容姿も本当に女の子と見間違えるのも頷けるよ)魔物に囲まれてしまった。って……え?非戦闘員な私まで?


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