仲間
ミトスの幻覚をロイドに見られたアシェルは……ロイド達に自分の事を全てを話した。無理に話さなくてもいいというロイドの気遣いにも構わず、皆に聞いて欲しいからと…包み隠さず、自分の事を全て。
そうしてアシェルの事情を聞いたロイド達は、話の途中で色々驚いたり、ショックのあまり声を失ったりもしていたけど……静かに耳を傾けていた。
全てを話し終えたアシェルは、ロイド達に自分を見放してくれても構わないと言った。それだけの事を、自分はしてきたのだと……
そんなアシェルに、ロイド達は互いに顔を見合せた後……彼等はアシェルに言った。
「俺さ、レプリカとか…大爆発?とか説明されても、難しい事は正直わかんねぇ。
けど、今ここにいるお前は……ルークでもなくアッシュでもなく、アシェルなんだろ?」
「ロイド……」
「例えお前が精霊であろうが、大罪人だろうが、ルークだろうがアシェルだろうが……
俺達にとって、アシェルはアシェルだ」
ニッ、と笑みを浮かべるロイドに、アシェルの瞳が揺れる。
「誰だって間違い位するよ。僕だって、イセリアの村をディザイアンの奴等に襲わせる様な事をしちゃったし…」
「ジーニアスだけではない。かくいう私も……許されない過ちを犯した一人だ」
「おいおい、クラトスにガキんちょ。そんなの言い出したらキリが無いぜ?」
「確かに、今まで仲間を裏切りまくってたゼロスの場合、キリが無いだろうね」
「シイナちゃん……俺様心が折れそう…」
「(無視)それにアシェル、アンタは頑張ってるじゃないか!」
「そうだよ!アシェルはいつも私達を助けてくれるし……私、知ってるよ?アシェルが優しい人だって事。勿論、ゼロスの事もだよ?」
「コレットちゃん……有り難う…っ」
「アンタが泣いてどうすんのさ、ゼロス」
コレットからの思わぬ励ましに、思わず嬉し涙を流すゼロスに、シイナは呆れ混じりに苦笑する。何だかんだで、この二人は良いコンビだとサクは思う。
「貴方は自分の罪を認めています。その事を心から後悔していて、自分とも向き合っていて……それはとても立派な事です」
「貴方の言う、"もう一人の自分"の事も含めて全てを背負う事で、罪の償いもしているんじゃなくて?」
「プレセア…リフィル……」
「今まで我々に話せなかった事を、気に病む必要もないだろう。仲間だからといって、自身の全てを打ち明ける必要はない。
ましてや、お前は罪を償うに見合うだけの働きもしている。この中の誰も、お前を責めはしない」
「リーガル…」
「あーもー!お前がそんな風に卑屈になってると、此方まで調子が狂うんだよ!
良いか?俺やクラトスまでコイツらは許してくれてんだぜ?お人好しなアンタが受け入れられない訳がねえだろーがっ!」
「ゼロス…」
「つーかよ、お前の世界での私情を此方の世界に来てまで引き摺ってんじゃねーよ!今まさにこの世界の存亡が掛かってるって時に!」
『ゼロスの言う通りかもね。私達は、今目の前で起きている事に対して、今出来る事をしなくちゃ』
ね?と、サクに笑い掛けられながら、アシェルは改めて一同を見回し……漸く笑顔を浮かべた。
「そうだよな……うん。皆、有り難う」
それは、今にも泣いてしまいそうな笑顔だったが……自然と、皆もアシェルにつられて笑顔になった。
大丈夫。アシェルはちゃんと、この世界の皆からも受け入れられてるよ。
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