救いの塔

コレットとクラトスを追い掛け、救いの塔に到着したロイド達を待ち受けていたのは、最後の封印を解こうとするコレットと、様子がおかしいレミエルだった。

世界再生の意味を知ったロイドはコレットを止めようとするも、彼女は天使化してしまう。

レミエルは彼女を止められなかったロイド達を見下し、嘲笑いながら熱に浮かされた風に世界再生の旅は自分達天使の仕組んだ罠だった事を話した。そんな彼の態度が、かつてのモースを思い起こさせ、サクの苛々は募るばかり。

極めつけが、彼のこの発言だった。



「とうとう完成した!マーテル様の器が完成したぞ!!」

ブチッ

『村の人々からは世界を救う為に死ねと強要され……実際はマーテルを蘇らせる為に器となり死ね?ふざけんじゃねぇよ、どいつもこいつもさぁ……コレットを何だと思ってる訳?』



かつて、ルークが世界から死を強要された時は、本当に世界を救う為の犠牲としてだった。けど、今回は訳が違う。

世界のマナの流れを変え、衰退した世界に繁栄をもたらせる、世界の為の犠牲なんてのはただの表面上の理由。彼等の本当の狙いはマーテルを蘇らせるという、ミトスの個人的な目的の為だけに、コレットは死を強要されている。



『この世界もクルシスも……あたしは嫌いだ』



自国の繁栄の為にルークを殺そうとした頃のキムラスカ以上に、サクは嫌悪感を抱いていた。

過去、その当事者であり、被害者でもあるアシェルも彼女と似たような心境であり、静かに怒りを滲ませていた。彼の手は、既に剣を握っている。



「天使の御前だぞ、下等生物が。口を控えr…グサッ

『あんたこそ、ローレライ教団最高指導者・導師サク様と、キムラスカ・ランバルディア王国の第三王位継承者、ルーク・フォン・ファブレ子爵の御前よ?発言の許可を与えてもいないのに喋らないでくれる?耳障りよ』



視界に入るだけでも目障りなのに、と塵屑を見るような目をサクはレミエルに向けている。その彼の胸には、サクが無詠唱で発動させたサンダーブレードが、深々と突き刺さっている。



ゴフッ……馬鹿、な!?この私がこんな小娘に……!!?」

『度重なる不敬の数々、劣悪種と罵る人間による死罪……でどうかしら?』



中級魔術で致命傷を負わされ、動きが鈍いレミエル。そんな彼の背後にアシェルは一瞬で回ると、天使の象徴である羽根を超振動で消し去った。



グアアアアッ

『羽根が無ければ、貴方も自身が最も忌み嫌う"劣悪種"と同じね。否、劣悪種より無様で滑稽な最期かな』



羽根をもがれた天使は地に堕ち、同時に刺さっていたサンダーブレードも光に還った。致命傷を追った彼は、大量出血により、絶命した。



『………いるんでしょ、クラトス。いい加減に出てきたら?』



コツリ、と足音が響く。突き刺す様なサクの殺気に満ちたこの空間に、ずっと柱の影で気配を殺していたクラトスが姿を現した。


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