聖なる焔の光

アビスの世界でも、たまにローレライが接触して来る時やチャネリングを繋がれる時にはこのような頭痛が伴っていた。けど、シンフォニアに来てからは接触して来るどころか、此方から連絡を自由に取る事も出来ず……どうしたものかと途方にくれていたというのに。

何故今なんだ!現在進行形で絶賛戦闘中の、しかも封印を解く試練という結構重要な場面でわざわざ繋ごうとしてくる!!ルークがヴァンに暗示を掛けられた時といい、本当接触のタイミングが悪過ぎだよあの空気王!と怒りを滲ませながらも、サクは急遽詠唱を中断した。いくら空気が読めていない相手とはいえ、サクとてこの接触のチャンスを逃す訳にはいかない。



『ジーニアス、急用が出来たからやっぱりサポートは無理になったけど頑張って!』

「ええええ!?何それ!!?」



焦るジーニアスにグッと親指を立てていっそ清々しい笑顔を向けてから、戦闘範囲外まで下がる。先程まで音叉周囲に纏わせていた水のマナを拡散させた所で、サクはローレライを呼ぶ為の譜歌……大譜歌を詠い始めた。

ちなみに、大譜歌を詠っている間はサクの周囲には防壁付きの特殊フィールド(ヴァン戦での無敵フィールド、別名髭フルボッコタイム)が展開される為、敵の攻撃による影響は受けない。



『レィ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レィ レィ…』

「アイシクル!」



ジーニアスが詠唱を完成させ、魔術が炸裂した頃にサクも大譜歌を詠い終える。



「今だよロイド!」

「はああああっ!!!」



ジーニアスに続いてロイドが止めを刺し、クドゥグハは倒れた。すると、封印の間に発生していた炎が消えていく。どうやら、火の封印を解く事に成功したようだ。



「やったねロイド!」

「ああ。スゲーなジーニアス!流石だぜ」

「……二人共待ちなさい!何かが変だわ!!」



封印の間に充満し始めた別のマナに、リフィルがいち早く気付き警戒を呼び掛ける。遅れて他の者達も気付き始めた時には、部屋の中心に再び炎が集まり始めていた。



「ロイド…」

「大丈夫だ。コレットは下がってろ…」



先程迄の赤い炎ではない、金色の…光に近い炎。感じるマナの質も火の属性のマナとは違う。それ所か、他のどの属性のマナにも当てはまらない、始めて感じる種類の物。

その金色の炎を名付けるなら―――…聖なる焔の光。

不安気なコレットを後ろに回らせるも、ロイドの額には冷たい汗が流れる。ロイドの近くにいるクラトスも、予想外な事態に警戒している。

そんな緊迫感漂う雰囲気の中、封印の間の中心に集まっていた金色の炎が突然フット掻き消え、その中から一人の赤い長髪を持つ青年が現れた。


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