アフタヌーンティー

結論から言うと、ギガントを含めた魔物の討伐任務は、大きな負傷者を出す事も無く、無事に完了した。魔物を殲滅した部隊は教団に戻り、今は休息のひとときを送っていた。

ーーー…彼等を除いて。



「全く…。接待をさぼりたいが為に入れ替わろうとするなんて。サクに何かあったら、僕やスイレンの立場はどーなると思ってる訳?」

「ごめんなさい。深く反省してます」



かれこれ一時間位は続いてる、オカンことシンクによるお説教。サクはというと、仁王立ちする彼の前で床に正座をさせられていた。しかも正座が限界の様で、プルプル震えている。今回の一番の功労者達に休息なんて無かった。



「…そろそろ許してあげても良いんじゃないかな?反省してるみたいだし」

「…今回一番被害を被ったレンがそう言うなら、仕方ないね」



流石にちょっと可哀想になってきたスイレンが助け船を出すと、シンクからも漸くお許しが出た。助かった…!と、歓喜に打ち震えるサクが立ち上がろうとした直後、彼女はその場にバタッと倒れ込んでしまった。



「うぁぁぁぁ…足が、足がぁあああ〜…」

「ハッ、芋虫がのたまってやがる。ザマァねぇな」

「ぅうぅ〜…一人だけ素で騙されてたアッシュには言われたくなぃぃい〜」



ジタジタと床に転がりもがき苦しむ様は、まさに芋虫。見ろ、導師が芋虫の様だ!台詞的には某大佐ではあるが、アビス的には大佐違いである。

今回、実質騙されたのはアッシュとモース位だった訳だが、二人と接点の少ない者になら、変装は有効かもしれない。なんて事を、足の痺れに悶えながらも懲りずに考えているサクが本当に反省したのかは、ちょっと怪しい所だ。



「…あぁ。皆揃ってたんだ」

「.あ、イオ!アリエッタ!」



そんな現場に現れたのは、イオこと被験者イオンとアリエッタの二人だった。サクの奇行に対して特に驚く事も無く、部屋の中に入ってきた彼等は、単純に慣れていた。



「今日は任務で一悶着あったみたいだけど、その様子だと皆無事みたいだね。サク以外は」

「ぅう……解せぬ…」

「サクは自業自得なだけだろ」

「フフ、"確かにそうかもね"」



恨めしげに彼を睨むサクに対して、クロノは涼し気だ。何となく含みのあるクロノの言葉にシンクは眉を顰めるも、どうせこの被験者サマは自分には教えてくれないのだろう…と判断し、そのまま流す事にした。



「それで?アンタ達がここに来た要件は?」

「今日は大変だったみたいだからね。これは細やかな差し入れだよ」

「今日のおやつはチョコレートケーキ…です」

「わぁ…!二人共有り難う。早速お茶を煎れなきゃね」

「あ、待ってスイレン!お詫びに今日は私が淹れるよ〜!」

「って、復活早ぇなオイ」



シュバッ、と勢い良く床から起き上がり、そのまま紅茶を淹れる準備を始めたサクに対してアッシュがツッコむ。かくして、彼等にも漸く休息のひとときが訪れた様だ。

人数も増えて、いつものメンバーが顔を揃えて賑やかになってきた所で、スイレンはクスリと笑みを溢す。



「平和だなぁ…」



しみじみと呟かれたスイレンの言葉に、この場の数名が彼女につられて微笑む。ツンデレ組も満更でもなさそうだったが、指摘すると何処が平和だよ…と突っ込まれそうだったので、止めておくのであった。


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