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「猫さん、市の紅猫さん」



するりっと、頬を這う冷たい感触に目を開く。
布団に寝ていた私を撫でるのは、知らない人・・・・。


黒髪が綺麗ででも、闇色の瞳。


どこかであった気がするけれど・・・覚えていない。

ふわり、と笑う、
その笑みが、はかなくて、切ない。



「市の紅猫さん・・・怪我をしているの?」

『・・・?』

「市のせいね、市が貴女を連れてきたせい」

『え・・・』



ぽつり、ぽつりと紡がれる言葉、
そして言われたその内容に身体を起こせば、寂しそうにその人は表情をゆがめた。


パチリ、



パズルのピースがはまるように記憶の白が消えて行く。










光、

暗い夜道


軽い衝撃


歩道


信号機


爆音


強い衝撃



突き飛ばした、その人は・・・?




どうか…………を・・・け、、、て

           







どうか、闇色さんをたすけて・・・っ









『あの・・・時の・・・?』

「紅猫さん、市のせいね、市のせいで怪我をしたのね・・・」



市のせい、市のせい。

壊れた人間のように繰り返す

だんだんと、彼女の周りに闇が広がっていく

あぁ、そうか・・・そういうことなんだ・・・・。



『お市さん。』

「なぁに?紅猫さん。」

『闇色さんを・・・三成さんを・・・私は助けたい、支えたいの、そばに居たい・・・っ』




彼の光になりたい。


つぅっと、頬を滑る涙。

私が願ったこと、彼女が願ったこと、


彼女の願いが、いつのまにか私の願いになっていた。
彼女のおかげで、私はここにこれた、



「そう、そうなの、
 市の願いを聞いてくれるのね。」

『うん…っ』

「嬉しい、市、蝶々さんとの約束も護れるわ。」



だんだんと、広がっていた闇が消えて行く
まるで、浄化されるように、



「紅猫さんは、光ね。
 市は光を探してたの、でも、光色さんとは違うわ。」

『ひかり、いろ?』

「闇色さんと仲直りしたいって、ずっと光色さんは言っていたの。」

『・・・っそっか』

「猫さんは、光色さんの代わりになるの?」

『ううん、違うよ。





 光色さんよりも、ずっとずっと暖かい光に、なる。』










『っみつ、なりさん・・・』



私が貴方に拾われた理由が、やっと、やっと、わかりました




*-*猫が泣く*-*



大切な人を探して

歩み始める



執筆日 20130423


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