01
「っ、」
日々寒さを増していく奥州。
竜の右目、片倉小十郎は頭を悩ませていた。
つい先日。
国の重役が集まって開かれた講義に、一番の中心人物といえるであろう、石田が軍師の姿はなく、彼女から手紙を受け取ったという上杉の忍は、彼女から託された手紙の内容を伝えると消えた。
いっそ、大阪へと赴くと言い出した己の主、伊達政宗を抑えこみ、やっと執務を再開させたばかりだというのに……
「(どうなってやがる)」
武田の忍から緊急で送られてきた文にあの日、石田がその軍師のことを殺そうとしたとかいてあった。
それだけならまだ己も慌てただろう。
最後に書かれていたのは、助けようとしたさいに光を纏って消え、そのまま行方不明ということだった.
「一体、何がどうなってんだ」
小十郎の言葉に、答えられるものは居ない。
執筆日 20130414
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