03



鈍い音。

鋭い痛み。


ドサリッと畳の上に崩れ落ちてしまった。
それは、仕方の無いことだろう、いきなりだったから・・・

じわり、口の中に広がるのは鉄の味。



『っつ・・・』




小さく声を出してしまったけれど、とたん、ストっと真横に刺さる刀。
息を殺して、ゆるりっと視線をあげた



『どうしました、三成さん。』



それから息を吸って、言葉をしっかりと吐き出した。
三成さんの目は、くすんでいて・・・

きっと・・・怖い夢でも見たんだろう。


刑部さんじゃないから私はどうしたらいいかわからない。

安心させてあげたいけれど、どんな言葉をかけていいか、私はわからない。



「・・・」

『だい、じょうぶですよ。
 大丈夫・・・もう誰も貴方を裏切らないから・・・』


くいっと、三成さんの着流しを引っ張って、諭すように言葉を言う、

ちゃんと、彼の目を見て・・・


光は無い。でも、届いて欲しい。



「弥月・・・」

『はい。』




小さく、呼ばれた名。

返事をすればすとりっと、糸が切れように三成さんは私の目の前に膝を着き、私を殴った頬に優しく触れた。

体温の低い、三成さんの手はひんやりとしていて、気持ちがいい。



「痛む・・・か・・・」

『大丈夫です、貴方が触れてくれるなら。』

「・・・すまない」



吐き出された言葉
三成さんの手に、自分の手を重ねて目を閉じる、

あぁ、よかった・・・



『(まだ・・・大丈夫)』



佐助が言ったように、私が迷子になるわけには行かない。

私は三成さんを支えなくちゃいけない。
三成さんを独りになんて絶対にしない。



『大丈夫ですよ・・・

 私は、貴方が必要ないと言うまで・・・ずっとそばに居ますから・・・』



そっと、三成さんの頬に手を滑らせれば、そのまま、彼は私のようにその手に己の手を重ねた



あぁ、まだ・・・




必要としてくれている。


執筆日 20130412



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