01
ザワザワとざわめく戦場。
ぶわりっと風が髪を攫って行く。
あの日から、あまり手入れをしなくなった私の髪は少し襟足が伸びて首をくすぐるが、そんなの戦の中じゃ気にならない。
ザッと、地面を蹴る音がする。
それに視線を後ろに向ければ、そこにいたのは三成さん。
彼の目には、狂気と切望が入り混じっている。
「ついにこのときが来た・・・。
秀吉様・・・どうか私にあらゆる許可を・・・
そしてすべての終焉の後、どうか、どうか、許しをこう許可を・・・・!」
そして発せられたその言葉に、目をふせる。
あぁ、彼はいつも許しを請うだけ、
確かに、秀吉様の願いを、半兵衛様の思いを、私も彼も知っている。
日ノ本を統一し、そして世界進出をしようとした彼等の意を・・・
その思いを半ばに散った彼等に対し、本当ならば謝るべきなのだろう。
戦場を睨み、そして私の横を通り過ぎて行く三成さん、
その横にはいつものように刑部さんがいる。
私には越えられない二人の壁
でも、私は彼等の支えになれるほど大きくは無い。
だからせめて、彼等を護りたいと思う。
まだ、開戦のホラは鳴らない。
執筆日 20130407
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