01




「弥月、主に使いを頼むぞ。」

『・・・はい?』



刑部さんがそう言ったのは、毛利・長曾我部の同盟が済んだ数日後だった。

固まったのはしかたないだろう。



「何、心配するな。
 長曾我部に案内は頼んである。」

『元親に?』

「四国よ、やれ、また海に落ちるでないぞ。」



けれど、言われた言葉にホッとする。

うん、一人じゃないなら大丈夫だろう

海を渡るのは少々不安だが・・・



『何時出発ですか?』

「明朝。」

『・・・はい?』




でもいきなりじゃないかな・・・ 本当に・・・




*-*-*-*-*-*-*-*




「で、お前は鶴の字の所に行くってことか。」

『鶴の字?』



サザンっと数日前に飽きるほど見た海の上で、元親に言われた言葉に首をかしげる。
現在進行形で向かっているのは四国

元親の治める国のすぐ隣に位置する伊予河野軍



元親と同じように海を大切にしている子らしい。



「だが、あいつも西軍に来るのかよ。」

『そういう話だけどね、
 鶴の字って女武将なんでしょう?』

「あー・・なんでも海神(わたつみ)の巫女だけどな。」

『わたつみ?』

「未来が見えんだよ、何言ってっか理解すんのは面倒だけどな。」



けれど、言われた言葉に首を傾げてしまう。
未来が視える。

それは巫女ゆえか、それとも元々そういう力を持っていたのか・・・
まぁ、時代を越えてしまった私が言えることじゃないけれど・・・

でも、気になるのは確かなのだが・・・



『未来・・か・・』

「なんでぃ、お前も気になんのか?」

『いや、別に?』



私は、私の知っている史実どうりにならないことをもう知っているから。
だから、なるべくいい方向に行けばいいと思っているだけだ。


出来れば・・・



『(家康も・・三成さんも・・仲直りして・・・各地の武将が手を取り合って生きられるような世界・・・)』



多分・・・もう無理だろうけれど・・・
でも、そんな未来にできるのであれば、そうしたい・・・。




『あ、 近くまで行ってくれればいいよ。
 元親は自分の国だって心配でしょ?』

「大丈夫なのか?」

『大丈夫だって、多分ね。
 私だって戦えないわけじゃないし、ただ帰るときはまた手伝って欲しいけど。』

「おう、 気をつけろよ」



まぁとにかく私は私の仕事をやればいい。



執筆日 20130321


[ 18/80 ]

[*prev] [next#]
[戻る]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -