*-*Side Yukimura*-*


「何?北の伊達が…か?」
「うん、そーみたいよ?」


 お館様が治める甲斐の地にて、己が忍…真田十勇士であり真田忍隊の長である猿飛佐助から言われた言葉に驚いた。
最近、何かと名が上がる「伊達藤次郎政宗」

齢19…と、俺よりも一つしか変わらない…が、その実力は某よりもはるかに上、天と地ほどの差と思うほど…

噂に聞けば、片目を幼い頃に失い…誰からも愛されずに育った人。
だからか、己が治める土地の民の平和を祈ってただ、それだけに戦いを求める人だという。だが、その素性は一切わからぬまま…男か女か…話に聞く限りでは男の方が多いが…


「なになに。旦那ってば興味出てきた?」
「俺とて武人、強き将の首を取りたいと思うのは当たり前だろう!」
「あーはいはい、そうでしたねっと」


にやにやと笑う佐助が酷く意地悪に見えて仕方がない
しかし、言うように興味があるというのもまた事実。


「佐助。」
「ん?なぁに」
「その、伊達政宗殿とはどのような容姿なのだろうか?」
「容姿、容姿ねぇ…黒髪っていうのは一番の情報だけど、俺様も黒頭巾たちに邪魔されてよくわかんないんだよね…でも、名前のとおり右目を喪った独眼の龍だよ。あとは、蒼い装束に上弦の兜ってところかな」


佐助に聞いてみても思ったよりも情報が少ない。
ということはそうそう姿も現さんのだろう、そう思うと、余計に胸の奥がざわざわと音を立てる。


「まぁ、北を統一したことだし、そろそろ天下を狙うならこっちにもくるんじゃないの?独眼竜の旦那」
「うむ、俺も負けられんな!おやかたさまばぁあああ!!」
「ちょっとぉ旦那あぁ!?」





執筆日 20130812



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