「やっと梵らしくなった!」
『Ah? 成実?』
「一時はどうなるかと思いました。」
どうやら、私は数日の間、意気消沈しすぎて自我を失っていたらしい。
成実曰く、女の子っぽくて可愛かった。だ、そうだ。
迷惑な話だが、だが、小十郎に自分で言ってしまったことが恥ずかしい。
何が娶れだ、
女子力もないくせに。
『だが・・綱・・・』
でも、私は綱の父親を殺した。
あの作戦だったら、私は綱の父親のそばで指揮をしていたのに・・・、
小次郎を喪って、それどころじゃなくて・・・。
私情を持ち込んだ大将なんてゴミ以下だ。
虫唾が走る。
なのに、それをしてしまった。
「貴女様が気に病むことはありません。
こうなるのは、この世の理なのですから」
『っ・・・』
それなのに、綱はそう言って私を攻めない。
それが、わたしにとって一番の攻めだというのに・・・
でも・・・もう二度と・・・
『小十郎・・・』
「はっ」
『成実、綱元』
「なぁに、梵」
「はい。」
3人の名を呼んで、一度目を閉じ・・・
それからソッと目を見開いた。
『こんな俺だが、これからも、この背を守ってくれ。
その分、俺がその背を守る。
もう、
誰も、喪いたくないから・・・』
これは、
誓いだ
これから、天下を統べる竜の、誓いだから
執筆日 20130715