あの日壊れた夢の続き
病院の扉を潜れば、そこで彼は待っていたから、ひらりと手を降った。
複雑そうな、申し訳なさそうな顔をするキースに苦笑いしてしまうが、これはこれだ、許すつもりはないが、正直半分どうでもいい。
自動販売機で互いに好きなジュースを買って、それから歩きなれたロンドンの町を二人でならんで歩く。
『へぇ、じゃあピーターたちはウィンブルドンの試合に出てるのか。』
キースが突然言ったのは、彼らが襲って中止になったかと思われた大会のことだ。晴れた空の下で、無事開催されることになったらしい。
それにまぁ、主に手を出したのはあいつらだからなぁ…なんて思いながら笑う。
互いに揃いのラケットバックを背負って、またこうして日の光の下を歩けることが酷く幸せだ。
正直、キースにも大会にでてほしかったが、彼は私のことがあるからと、断ってしまった。普通に出てくれればよかったのに、
ポケットからボールを上げてキャッチして…そのあとにキースにパスすればそれをキャッチしたキースが笑う。
『なぁ、本当にお前は良かったのか?』
「俺はお前とテニスができればそれでいい。」
大会は二の次だ。と言葉を続けることに、ふわりと心が温かくなった。
まぁ、私もそのつもりだ。
結果は残せずとも…それでいいと…思えるから…
なんて考えていればボールを持った手が私の肩を抱き、そして組んだ。
ここから歩みだすのは、きっと
*-*あの日壊れた夢の続き*-*
(俺がやったものだけど…今は怪我を治すのに集中してくれ)
《あぁ、わかったよ。でも、ま、テニスできなくなっても、キースのテニスが見れれば私は幸せなんだけどね。)
また、もう一度、ともに歩き出す。
再20190216
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