*-*Side Yukimura*-*
探したのは、蒼の竜。
お館様より負傷した兵を武田へと運ぶという伝令のもと、俺は彼の方を探していた。
離れた場所で聞こえた銃声。
そこにあったのは蒼。
あの竜がいるのかとうれしくなった半面…
まさかたかだか鉛玉でしぬことはないだろうと…
「またれよ! 独眼竜伊達政宗殿!」
だが、探し追いかけたその人は当たり前のように馬を走らせていた。
あの三日月の兜はつけてはいないが、無事だと
「奥州は遠うござる! 我らとともに、甲斐に参られよ!」
そう、内心はホッとしていた。
叫ぶようにそう声を発するが、彼は反応を示さない。
それどころか、片倉殿が何か言っているが…それにでさえも…
まさか…
速度を上げて、伊達殿に近づく。
瞬間だった、
ぐらりと体が傾き落馬したその蒼。
馬を飛び下り、その下に滑り込めばギリギリのところでその体を受け止めることができた。
「政宗様!!」
「伊達殿、いかがなされた!」
腕の中に納まった体はおもっていたよりも華奢で小さい。
肩幅も狭く…
はっそんなことを考えている暇ではない!
片倉殿が、伊達殿に何が起こったかを調べようとし、そして、小さく息をのんだ。
片倉殿の手は、血に濡れていた
執筆日 20130911