一斉に放たれるのは、この時代では種子島と呼ばれる火縄銃
浅井の妻が振り返り、悲鳴を上げるが、遅い。
乾いた銃声の音。
幾多の銃弾が風を切り…
浅井を撃ちその白の戦装束を赤く染めていく。
ガキンッっとひどい音がして、
そのうちの一つが音を立てて私の兜にかすり…
腹を、流れ弾の一つが命中した。
「政宗様!!」
一拍、遅れて私の目の前に飛び出してくる小十郎。
銃声が長篠の平原にこだまし…
そのまますぐに、2回目の銃弾が雨のように降り注いだ
「ぐっ…」
そのうちの一つが、浅井の兜の前立てを撃ち落し、よろめいた
支えにしている剣に浅井の血が滴り、
ボタボタと、地面に血が落ちて血だまりを作り上げていく
「…市…」
血まみれになりながらも…己の妻に手を伸ばす浅井
けれど、その手は届かない。
3度目の集中射撃。
ぐらりと背後に倒れる浅井。
兜のひもが切れ、頭よりも重いそれは先に地面へと落ちて、転がった。
どさりと、倒れる音が…
流れる黒髪が…
『…』
あのことかぶってみえた執筆日 20130909