武田軍から離れ、軍を率いて向かう。


そして見えてくる、赤・・・というよりかは橙に近い色の軍勢。



『はっ!!』



動きを止めている今、さっさと終わらせるだけだ。



『Ok,Are you ready!!』

「Yeah!!」

『Here we Go!!』



バッと、一振りの刀を抜き、声とともにスピードを落とす。
とたん、逆にスピードを上げた連中が砂煙を巻き上げながら軍勢を取り囲む。


捕らえた・・・!


口元を吊り上げて、そして駆け上がる。

弓矢隊が私に狙いを定めているが、そんなの関係ない。
いや、疾風に怪我をさせるわけには行かないから、関係はあるが、


トンっと、背に一度たち、そのまま空へと飛び上がる。

瞬間、私へと向いていた矢がすべて空に放たれた、



『ふっ』



それらをすべて払い落としながら、降下して行く。
そして着地すれば、その衝撃で砂煙が舞い、そして足軽たちも衝撃で舞い上がった。

何かがわめく音が聞こえるが興味は無い。
ゆるりっと身体を起こし、集中する。



『Rest in Peace!!』



そして、技を発動させれば、敵をなぎ倒す。
無論加減なんてしてない。

そのままその衝撃は、今川が乗っているであろう御輿をも吹き飛ばす



「ひ、筆頭・・容赦ねぇ・・・」



後ろから聞こえるが、まぁ、そんなことも関係は無い。
疾風はまぁ、小十郎が回収してくれただろうし、


ドサリっと地面に投げ出された今川を見て、ため息をつく
なんか、うん・・・馬鹿っぽい

ふわりっと砂煙がだんだんと消えて、そして身体を起こした今川が私の姿を捉えた



「ち、ちちち、近寄るでない!
 まろを誰と心得るおじゃ!」

『今川のおっさんだろ?』

「・・・!」



くすり、と小さく笑って歩きだす。
一度、刀についた血を、はらい飛ばした



『俺は奥州筆頭・伊達政宗
 悪いがその首・・・獲らせてもらう』

「んみみみ皆の者!
 ンまままろを守るおじゃ! はは早うこの者を討ち取ってたもぉおお!」



そんな私の風貌を見てか、叫びながら敵に背を向けて逃げる様は、無様だ。
足を止め、左足を半歩引き



『大将ならアンタがかかってこいよ』



一度振り上げた刀を、振り下ろした。

ガタガタと、倒れた御輿の陰に隠れてこちらを伺うのは、どこのガキかと思えるがイラつく

ひとつしたうちをして、走り出そうとした


だが









「待たれよぉおお!」



後ろから聞こえた、叫び、
そして、馬の足音と鳴き声。



『来た・・』



小さく呟いた声は、きっと誰にも聞き取られなかっただろう



「お館さまご上洛のため、駿河は大切な足がかり。
 貴殿に今川義元を討たせる訳にはゆかぬ!」



ゆるり、と振り返って首を傾げてみせる。
全く、武田のあの人の考えもよく分からない。



『北条に横腹抉られて味方が危ないってのに・・・よく来た』

「あれしきのことで武田は揺るがぬ!」



私よりも高い位置にいる真田は、どうやら私の言葉にご立腹のようだ。
まぁ、そこまで興味は無いが・・・



『Hum・・・だがいずれ、甲斐の虎の首も俺が頂くことになるぜ。 Yousee?』



私が、日ノ本を統一するためには、甲斐の領土だって必要だ。
甲斐の虎の首を取ってこその、武田攻略

それ以外でも、それ以上でもない


「相手がいかなる武人にあろうとも、お館さまが破れるなど、ありえぬこと
 この真田源二郎幸村とて、志半ばにして戦場に果てるつもりは皆目ござらぬ!」

『All right
 今川義元の首を懸けて、勝負といこうか、真田幸村』


本当、真田幸村は面白い男だ。

一度刀を鞘に収めて、そしてすべての刀に指をかける。



「望むところ・・・!」

『・・小十郎。』

「は、一切手出しは致しませぬ」



まぁ、小十郎のお許しも出たとこだ
さっさと終わらせようじゃないか。


第一に・・・奥州が関東に進出するための足がかりでもある。
武田だけだと・・・おもうな



「独眼竜・伊達政宗・・・ いざ、勝負!」

『クセに、なるなよ?』



そして、互いに力を纏って、地を蹴った。



ギラリっと、目の前にひかるのは、槍の切っ先が目の前にある。
私の刀の切っ先は、残念ながらそのまま突き刺しても、真田には当たらない

その理由は槍の途中の窪みに刀が当たってしまっているからなのだが


『上出来だ。』


口元が上がる、
そのまま、刀を半回転させて槍をはじき飛び上がる

そして、斬りかかった。

どれもはじかれたが、そのたびに火花が散った


執筆日 20130818

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