紅蓮の炎はもうどこにもないのでしょう。


小さな小さな鳥かごの中に涙を流しながら笑んでいるあの姫君ももういないのでしょう。



覆うは黒衣を纏いし呪われた騎士


時は流れることすらなく、ただ、その時を止め



さみしいひと…



涙を流しながら姫君はつぶやき

その言葉を聞きながら黒衣の騎士は閉じていた瞳を開き緋色の瞳に闇を秘めて




『けれど、それが私の宿命なのだ』




かしゃん…



閉じられた鳥かごの扉から手を…黒衣の騎士へと伸ばす緋色の姫君。
その手は届くことはなく…

黒衣を揺らしながら歩きだす




おもいだして…っきでんはきでんには…












あいするべきひとが、おりますでしょう






最後のその言葉を最後に、鳥かごは黒い炎に包まれた





執筆日 20130918



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