あれから幾月
長い獲物を振り回し、戦装束も赤から黒へと変わった姫君
己の生き様を捨て、つくりし新たな生き様をいき行く。
『続け!! 陣はすでに豊臣の手中成り!!』
もう、彼女を紅の姫君と知る者は居ないだろう。
強きものが這い上がる豊臣
騎馬隊の先頭を走り、敵を切る黒衣の騎士は敵からは死にたがりだと恐れられ、死神だと噂された。
彼女は、さっそく、生きることに集中せず、
心を失って行くばかり
「またこんなになって・・・」
「麒麟、手ぬぐいを貰ってきた、せめて顔だけでも拭け。」
けれど、彼女の周りも変わり行く。
「よくやった。」
「・・・怪我は無いか。」
強き豊臣の地にて、一度は捨てた居場所を、再び手に入れた黒衣の騎士。
そんな彼等に恩を返すべく・・・
また、屍を積み重ねてゆく
その中に・・・
己の感情も共に棄てていって
執筆日 20130807