輪廻転移
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今思えば、運命と呼ぶにはあまりにも偶然過ぎたし、偶然というのはあまりにも必然すぎた。真っ白な猫が駆けていく。
首に紅い鈴をつけて黒が走っていく。
『猫?』
その音に振り返った彼女は、ただの「学生」だった。
部活を終えていつもの帰宅路を歩く。この時期のこの時間の外はもう暗く、人通りも少ない。バイトで疲れていた私。やっぱり勉強+部活+バイトはつらいなぁ…なんて…。でも決めたことだからどれもやめるつもりはないけど、それでも体は正直なんだろう。
リラックスさせるように体を伸ばして背中に背負っているホルダーを背負い直し、交差点へ。
信号は赤、青になるのを待っていると後ろに人の気配を感じた。
珍しい…とそう思うのは、人気のないこの道を通る人がかなり少ないからだ。そもそも近道であるから使っているのであって、夜は街灯も少なくあまり一人で歩かないほうがいいかなと、思うほどの道
振り返れば、そこにいたのは一人の女の子だった。女の子、といっても同じくらいの年代だろうか。
部活帰りだろうか…けれどかばんは持っていない…
長い黒髪と…闇に解けるように綺麗な瞳。視線は下を向いていて、私には向いていない。
だけど・・・生まれてからもうずっとここにいるわけだが、こんな子は見たことがない。
そう思いながら再び信号へ視線を戻す。
そうすればゆらり、ゆらりとその子は私の後ろに立った。わざわざ後ろにそんな必要はないというのに、もしかして近くに引っ越してきた子で、一人が怖くて私にくっついてきているのだろうか。
そう考えていたらライトの光が道路を照らした。
その光をたどれば大型のトラック。
本当…今日は珍しいことがたくさんだと、そう思っていたとき、トンっと体が押され、同時に耳につく巨大なブレーキの音と、声にならない痛み。
ドッとアスファルトの地面に放り出されて、意識が、ぷつんっと消えた
少女は笑った
死するものにか…死せたことにか…少女は…笑った…。
その微笑みは、酷く悲しげであり、そして…
どうか…………を・・・け、、、て
執筆日0108
×//進
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