ねこ×ねこA
※いつもはエッジ君が騎上位でガンガンいくスタイル








本来セックスっていうのは二人でするものなんだと、
オレは思ってたんだけど。
エッジはーーーー



身体あんまり触ると怒るし、
後ろも自分で解しちゃうし、
いつも上に乗っちゃうし、
不満な面が多々あったり。
いや。気持ちいいんだけど、ね。


でもこのままじゃ納得がいかない。
そう。オレは今日決心した!



「は?今なんつった?」
ニコニコ笑顔のオレとは逆に、とんでもなく眉間に皺をよせてエッジは唸った。
「だから、今日エッジは何にもしないでねって言ったの」
もちろん情事の最中の話。
いつも至れり尽くせりでコトが済んでしまうので、自分には何もしなくていいんだよというアピールを先にしておく。
こうすれば一人よがりなエッチになんないじゃん。
お互い利害一致じゃん。
万事解決!!
「んじゃどーやってすんだよ」
更に声が低くなった。わぁ、すんごい機嫌悪い。
そのドス声に思わず身じろぐけど、今日のオレはひと味違うんだ!
「オレがするから、そ…」
「チッ」
チッって、まだオレ言い終わってないし!!
だんだんエッジの顔を見れなくなってきて、どうしてもうつむき加減になる。
オレ決心、鈍るの早いな…。
自分の情けなさにヘコみ黙り込んでいると、

「お前は座ってりゃーいいんだよ」
「え?」

ふいにエッジの指がオレの首筋に触れる。
「手を出す必要はないから、俺には構うな」
「何だよそれ」
びくっ
熱を持った指先が緩やかに首筋から鎖骨へ滑り落ちる。
反射的に身体が震えた。
「お前がよくなってくれればそれで…」
「ッつ」
耳元に唇が近づき囁かれると、吐息がかかり思わず声が出そうになる。
次に来るのは耳裏だとつい期待してしまったが、流れに乗せられずにエッジの動きを静止する。
「待って、まだ話終わってない」
息が上がって頭は熱に犯されてるが、どうにか平常心を保ちながらエッジの顔を正面から見据える。
真剣だということが伝わって欲しかったから。
「いつもいつもオレばっかしてもらってさ、エッジ気持ちよくないじゃない」
「そんなことない」
オレの問いに落ち着いた声でエッジはそう答えた。

そんなことない?
本当なのだろうか?

ずっと感じていたことがもやもやとオレの胸の中を渦巻く。
いつもキスはする。
でもそこから頬に手を添えようとすると制止させられ、一切触れることを許してくれない。エッジが愛撫をしながらオレの服を脱がすの対し、彼自身はシャツを羽織ったまま。まるで拒絶されてるかのようにも感じる。
ーーーそして、

「…オレ、エッジがイったとこ、見たことないよ」

そう。
オレがこれだけ気にかける理由。最も納得がいかない理由。それがこれだ。

「……別にいいだろ」

素っ気なく答えるとエッジは顔を反らした。視線を合わせずただ気だるそうに目を伏せている。
その態度に単純に腹が立った。

「よくないよ!一番大事なことじゃない!」

感情が高ぶり思わず大きな声が出る。そのまま勢いに任せて溜めていた言葉をぶちまける。

「毎回自分だけイって相手がイかない。抱きしめることもままならない。そんなSEXなんて嫌なんだよ!」
握りしめた拳に力が入る。
与えられるだけじゃなく、与える側にもなりたいと。
どうしてわかってくれないのか。
否定的な言葉を突き付けられ、やるせない気持ちが込み上げてくる。

「オレだけがいいって不公平だろ」
絞り出した言葉は語尾が掠れていた。
沈黙が流れる。



「……これで公平なんだよ」
呟くようにエッジが言った。
意外な回答にオレは思わず顔を上げると、目の前の人物と視線がかち合う。
エッジは表情を変えず、ぽつりぽつりと言葉をこぼした。


「告白したのは俺。
 こういう関係にさせたのも俺。
 強引に事を進めてしまえばお前は嫌とは言えないから」
下を向いて「じゃあ、せめて……」と消え入るような声で言った。
前髪がかかってその表情はよく見えない。
しかしキュッと結ばれた口元は必死に胸の内で葛藤していたことが分かる。
だが、オレはその言葉の意味に目をしばたたかせる。
疑問符ばかりが頭に浮かぶ。
「……エッジ、なんか凄い勘違いしてる」
「は?」
「エッジと付き合いだしたのはオレの意志だよ。
 そりゃあジーニアスさんに憧れてた時もあったけど。」

過去に恋愛相談をしていたことを思い出す。その時にエッジから告白された。彼はオレが無理をして自分と交際しているんだと、そう思い込んでいるようだった。
(なんだ、そっか)
ふっと笑いが込み上げる。
そして一つ呼吸おくと、ゆっくりと自分の気持ちを紡ぐ。

「今、一緒にいて楽しい。
 好きだな、とっても幸せだなって感じるのはエッジだよ。
 それじゃダメ?」
エッジの額に優しくキスをする。
今この瞬間も幸福を感じていることが伝わるように。

そしてこれから先はオレの願望。
年下だけど、世話焼きで。でも我が強くて融通が効かない。
しっかり者のエッジへ、ずっと思ってたこと。
それは……。



「オレ頼りないけど甘えて欲しいなーとか、ダメ?」

写真

おでこをこつん、とくっつけてみた。エッジの温もりがじんわりと伝わって心地いい。



オレの言葉にエッジは一瞬目を見開いた。
そして、

写真


少し呆れたように眉を下げ、
でも格別の。
とろけるような笑顔で言ったんだ。

写真




「……お前なんかに甘えられるか、ばーか」
「えー」








***


「動いていい?」


いつもと違う視線の高さに、正直戸惑う。
ホリディ越しに見える天井に違和感が拭いきれない。
しかし動揺を悟られないよう、「早くしろ」とホリディをこちらに引き寄せた。
吐き出される息が耳元をくすぐる。
「ふっ、あっ」
声を出し揺れる目の前のコイツを見ながら“自分で突っ込んでんのに余裕ないのか”と愛しさで胸がつまる。
『可愛い』
腕をのばし頬に手をあてキスをした。
チュっとリップ音がした後、目を開けると熱を帯びたホリディの顔。
そのままゆっくりと近づき今度は深く口付けた。
口内をぬめる舌が下腹部に与える刺激と相まって興奮を高める。
ホリディが動くたびに熱を持ったシーツが背中にまとわりついた。
「はっ、んっ」
普段はコイツの様子を見ながら緩急をつけていた。
戒めのための快楽はそこで制御出来たけど、


「ーーーーーっ」


胸の上に白濁液がぽたぽたと垂れた。

「……ごめ、イった」
息荒く謝罪の言葉を吐いた。
ああ、くそ。
込み上げる罪悪感から無意識に腕を持ち上げ顔を隠す。


「何で謝るの?」


汗で重くなった俺の前髪を梳きながら、こちらに問う。
その手つきのあまりの心地良さについ目を瞑る。

「気持ちよかった?」
「……。」

素直に答えないでいると、

「んーっ」
抱きしめてきた。
「どあ、苦しいっつーの!」
恥ずかしさと照れ臭さでつい怒鳴る。
ホリディは顔を上げると、

「嬉しいの。だっていつもオレばっかり気持ちよくて一方通行みたいでさ」

弾むような声で俺に告げる。
続けざまに「それにさ」と顔を近づけ、


「エッジ可愛かったしね」
「はあ?」


いつも緩い顔面を更にゆるゆるにさせて笑う。
何だかコイツ如きに一枚持っていかれた感じがして、腹が立ってきた。
俺は、

「……こーなるから嫌だったんだって」
「え?」


内から来る幸福感をコイツの背中に全部ぶつけてやった。
「いたいって!」
「はは、ざまーみろ」






蓋を開けてみればこんなもの。
下らない戒めはここで終わりを告げた。



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