青空日和


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01.姉弟の日常【エース視点】



太陽に照らされ、きらきらと輝く真っ青な海に浮かぶ、鯨を象った大きな海賊船。その名もモビー・ディック号。その海賊船に乗っている船員は約1600人で16部隊に分かれている。そんな大勢の船員を纏める船長はというと、世界の均衡を守る三大勢力の一つ、四皇の一角"白ひげーーーエドワード・ニューゲートだ。船員達の事を息子と呼び、愛しており、船員達もまた"オヤジ"と呼び慕っていた。

名を知らない者はいない程有名で、世界最強と言われる白ひげ海賊団。


そんな白ひげ海賊団に数年前、ある姉弟が乗船してから、更に賑やかさは増した。特に姉の方は女性だという事もあって、色めき立った。
そして今日もまた、姉弟の和気藹々?としたやり取りが甲板で行われていたーーー。




「エース、そろそろ新しい服買わない?いつも上半身裸だし、風邪引いたら困るよ。」

「そうだなァ…考えておく。」


「そうだ、これ一緒に食べよう、サッチが作ってくれたんだ!」

「ん…食う。」


「ああ、それと喉乾いてない?ほら、水飲みな。」

「…おう。」


「どうした?元気無いな、オレンジジュースの方が良かった?」

「…ライ……」


ぽつり、と自然と口から零れる相手の名前。先程から己に付き纏い、隙あらば世話を焼いてくる女。昔からしつこいくらい構ってくるのは何年経っても変わらなく、溜息を漏らした。


「…何かあったなら私に話して、姉として力になるから。」


隣に腰を下ろし心配そうに顔を覗き込んでくる、彼女はおれーーーポートガス・D・エースーーーの姉だ。勿論、血縁関係はないものの幼少期を共に過ごし、自然と姉弟という切っても切れない関係となった。

それはさておき、姉はどんなに素っ気ない態度を取っても離れようとしない、先程のやりとりから分かるように、世話焼き…というか過保護なんだ。弟ながら心配になるほどに。


「…いや、別に何もねェから気にすんな。」


今更放っておいてくれなんて言っても聞かない事くらい、分かりきっていた。言うだけ無駄だろう。
気を紛らわすように顔を逸らし、ワイワイと話している仲間達の方に視線を向けた。


「そっか…なら良いけど。」

「っ…やめろ、擽ってェ。」


どうにも暇らしく、今度は前髪に触れ、耳にかけられる。男とは違う女性らしい細い指が肌に触れる度にこそばゆく、思わずふるり、と頭を振った。


「ごめん、触り心地が良くて、つい。」


口で謝りながらもやめる気は無いようで、次は頭を好き勝手に撫で始めた。ちらりと横目で見ると、何とも愉しそうに笑みを浮かべていた。二十歳の男にすることじゃないだろ、と思いつつ再び視線を仲間達の方へ向ける。

ふと、視線の先の仲間達から一人が此方に歩いてきた。誰かと思いきや、特徴的な髪型をした一番隊隊長、マルコだ。


「二人共、相変わらず恋人みてェだよい。」

「…冗談でもやめろ、おれらの事はお前がよく分かってんだろ。」

「お互いが大好きな事がかい?」

「お前なあ…!」


マルコは姉弟にしちゃ仲が良すぎるからとよく揶揄いにくるのだが、今回もまたそれ目当てだったようだ。
血縁関係はないものの姉弟関係に変わりはなく、異性として意識などした事は一切無い。・・・いや、初めて会った時は少なからずしていたかもしれないが。現状、意識する事はない。それ故にこういった弄り毎度あり得ねェ、と適当に流していた。

ーーーけれど、姉は違った。


「お互いを愛してるのは本当だ、そこら辺の恋人よりも愛し合ってる自信がある!」


姉は頭の上に乗せていた手で、おれの片手を力強く握り、屈託のない笑顔で言い放った。
それがマルコを黙らせる為に言ったことなのか、ただ単に本音を言ったのか・・・どちらも合っているんだろう。
そんなことを恥ずかしげもなく言い放ってしまう姉を突き放し、無下にする事は出来なかった。


「…って事だ、満足したか?」

「……甘い。甘ェよい、お前ら。」


普段とは違う答えにマルコは苦虫を噛み潰したような表情に一変し、黙りになった。


「本当の事言っただけなのに、なあ?」


マルコとは対照的に、無邪気な笑顔でおれを見詰める姉。ここまで笑顔だと、此方もつい口許が緩んでしまう。


「ああ、そうだな。」


応えるように、己より小さい手をぎゅ、と手を握り返す。確かに世話焼きで過保護な姉だが、嫌いではない、寧ろ大切な姉だ、愛している。故に付き纏われてしつこいと思う事はあるものの、嫌だと思った事は一度も無かった。
きっと姉にはそれも含め全部お見通しなんだろう、だからやめようとしない。全く、マルコの言う通り、甘い、どうしようもない姉弟だ。



「あー…口から砂糖が出そうだよい。」

「へえ、新しい能力か?」

「違ェよい!」

「マルコとエースは仲良いなぁ、妬いちゃうよ。」

「十分仲良いよい、お前らは!」



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膝枕するお話とかも書きたい。


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