恋連鎖 | ナノ

そんなこんなで次の試合は対3-Bのサッカーです。
出場するのは総悟やトシ、コタロにエリーに神威に長谷川さん…と、ほぼ3Z男子全員である。

そんな中、あたしは彼らの待機するベンチに一人座らされていた。

それは先ほど総悟に
「試合中点決めてやりやすから、そこでしっかり見とけよ。あと褒美もらうから覚悟しとけな」
なんて言われたからである。
(ちなみに、ご褒美という言葉に少し不安を覚えたのは錯覚じゃないはず…。)

まぁ、ここからは確かに一番良く試合全体が見れるからいいのだけれども、こんな所に女子一人ぽつんって……
恥ずかしくてちょっと怖くて不安です。誰か来てほしい!

「あれ、何でここに座ってんの結ちゃん」

「銀ちゃん!――――――っは!」


突然現れた銀ちゃんに対して思わず名前を呼んでしまい、あたしは慌てて口をふさぐ。
辺りを見回して、どうやら今の言葉が聞かれてなかった事に安心すれば、深いため息をついた。


「ごめんなさい…」

「いや、結果オーライだって。あ、俺ここ座るわ」

「あ、はい…」

銀ちゃんが隣に来てくれた事に安心して、その上少し胸が鳴る。


「そういえば、さっきバレーボールの試合の時どこか見てきたんですか?」

「あー…なんか服部が痔が酷いっつーから俺が代わりに審判やってた」

「お疲れ様です」

「先生はその言葉が聞けて満足でーす」

「もう……!」


大丈夫だよね、この会話ってちゃんと先生と生徒の会話だよね?あ、でも最後の方なんか恋人同士っぽかった……っ



“恋人同士”……



一人で考えて何照れてるんだか
そんなあたしを他所に銀ちゃんは会話をつづけてくれる。


「にしてもそっちは大丈夫だったか?神楽とかお妙が出てるとなりゃー怪我人とか平気か?」

「高杉先生はいたけど大丈夫でしたよ」

「まぁだろうと思ったけどな。アイツらようやく力の加減が分かって来たっていうか…」

「あれで力の加減ができてるんですか?」

「あ、凄かったんだ」

くくっと笑う銀ちゃんが可愛くて、頬が染まっていくのが分かる。

どうしよう、次の話題が見つからない。頭がいっぱいいっぱい。胸がドキドキする。

しかし対する銀ちゃんを見ればなんとも余裕な表情でサッカーの練習を見ているものだから、少し悔しくなった。
本当、余裕だなぁ…あん時も…

「んな顔赤くしてどうしたよ?照れなくていいんだぞー」

「へ!?」

なんでこっち見てないのに分かるの…!?

「大体もっと恥ずかしい事したっつーのに…」

「銀ちゃんっ、人に聞かれてたらどうする…ってあたしもじゃん!」

「大丈夫大丈夫、いないから」

「うぅ……」


本当に、銀ちゃんには何でも見透かされているようで恥ずかしい。

顔をそむけて真っ赤にしていたら、いつの間にかこちらを見ていた銀ちゃんがふっと微笑んだ。





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