恋連鎖 | ナノ
一方総悟やトシは先ほどの近藤さんキック事件で物壊しちゃったらしいから修理を手伝っているみたいだし、銀ちゃんは何かいなくなってるし(大方別の競技の見回り的なのに頼まれたのかもしれない)
目の前ではバシンバシンと神楽ちゃんたちが練習をしていた。
「あ、高杉先生だ」
そう言ったのは新八君。
―――助かったァァァ!!
「やっぱりこの競技のうちのクラスが一番怪我人だしやすいですもんね。」
「まぁそんな所だ」
新八君は両手にタオルと飲み物を持っていてどこかのマネージャーのように見えた。どうやら神楽ちゃん達の分らしい。
「何でそんなにあるの?」と恐る恐る尋ねたら「よく飲む人がいるから…」とため息をつきながら返事をしてくれた。
あぁ、神楽ちゃんの事か。
「それにしても、高杉先生もちゃんと考えていてくれたんですね」
「俺がそんなサボり魔に見えるか?」
「え、あの(ぶっちゃけ超見えます)」
「そう見えるってさ、先生」
「え、ちょ、神威ィィ!!?」
何で聞こえてるんだよ! って、さっきも同じように聞いたような…。
「そうか。結、後で保健室に来い。みっちり説教してやらァ」
「いやいやいや思ってません!」
「先生、それ俺も行っていい?」
「何で神威が来なきゃいけないのよ…。もう嫌な感じしかしてこないのは気のせいかな?」
「「気のせいじゃないと思う」」
「………意地でもいきません」
そんなこんなで試合開始のホイッスルが鳴った。
と、ほぼ同時にまたピーっとホイッスルが鳴り響く。
「……」
あたしと新八君がポカーンとなっていると、目の前のコートに立っている神楽ちゃんたちは嬉しそうにハイタッチを繰り返していた。
つまり何だ?
得点版の方に視線を移せば、いつの間にかこちらに1点入ったことに気づく。
「い、今の一瞬で…?」
「あーあ、神楽ったらまだまだだなあ。あんなんじゃあと0.05秒の所で俺に取られちゃうね」
「ごめん。0.05秒でなんだって?」
ついでに右隣の高杉先生も無表情ながらもうんうんと頷いているのはあえてのスルーだ。
「ま、まぁとりあえず心配はないみたいですね。はは、ははは」
「新八君、目が笑ってないよ」
しかしながらこういう反応するのはあたしと新八君だけらしく、他のみんなはもう見慣れているような素振り。
おいおい、総悟なんか軽くザキにちょっかい出し始めちゃってるよ。思い切り興味無さげだよあの態度。(ていうか帰ってきたんだ)
あれ、トシがいないぞ
つまり………総悟め、サボってきたな
―――全く……
とりあえず、何に関しても常人の私にはついていけませぬ。
そう思って勝手にその場にあった水筒に手をつけるのであった。
「それ俺の水筒だぜ」
「はっ! ちゃんと高杉って名前書いてあるしっ」
……それから
試合は流れるように得点版に数字を足して行って、先ほどの近藤&さっちゃんさんペア以上の得点差にあたしと新八君はまたもや唖然とする。
試合終了のホイッスルが鳴れば、我がクラスのバレーボールチームの女子たちは喜びの歓声を上げた。
―――っていうか本当…さっきから相手チームがかわいそうすぎて見てられないんだけど