恋連鎖 | ナノ


「つかそこの二人は手加減ってのを覚えろ。
いくら結ちゃんが大切だからって暴力はいけねぇよ暴力は」


銀ちゃんはバシンバシンと音を立ててトシと総悟の頭を叩く。

こう見ると本当に教師らしいことしてるんだなーなんて考えてちょっとだけドキッとした。
…しばらくして隣の九ちゃんの視線に気づく。

「結ちゃんもしかして…」

「え?」

あれ、もしかして…あたしが先生の事……って、気づかれちゃったかな。
いやいや、隠してたけど隠していたわけじゃないから別にいいけれども。

「君も妙ちゃんが気になるのか?! さっきから時間ばっかりきにしているじゃないかっ」
「九ちゃんとりあえず違うから」

あれ、この人ってこんなに馬鹿キャラだったっけ。



「とりあえずコイツ今日の競技もう出れねーよ。どうしてくれんだ? お前ら」

九ちゃんと話をしている間、銀ちゃんの方では意外と近藤さんの状態が危ないことが発覚していたらしく少し周りがざわついていた。

「高杉」

「うるせェ、呼ばれなくてもここにいらァ」


「あれ、高杉先生いつの間にいたんですか!?」


あたしがそんな風に少し驚いて尋ねると

「あ? お前がいるところにはいつだっているぜ」

なんてナチュラルに返事されて、銀ちゃんが「口説くんなら生徒のいない前でやってくんない?」と怒りマークを浮かべていた。


そしてハァッとため息をつくと、銀ちゃんはズルズルと近藤さんを引っ張って高杉先生に渡すと今度はあたしの方に寄ってきて


「大丈夫? さっきの野郎共に巻き込まれて怪我してねェか?」

とあたしの腕を見たりする。


―――先生、ちょっと…視線がきついんですけど。


特にさっちゃんの方面から鋭い殺気が…!


「ん、まぁ大丈夫みてーだな。」


「先生、俺らが結に傷なんてつけるわけないでしょうが。逆でさァ逆。俺はいわゆる結を助けるスーパーマンみたいなもので…」


総悟が少し斜め45度を意識してか格好つけると隣の土方に
「ドSパーマンの間違いじゃないのか?」
と突っ込まれる。


「この際どっちでもいいけどねィ。
とりあえず結。一番危ないのはこのニコチン野郎なんで気をつけろよ」

「テメェは何言ってんだァァァ!何でそんなに俺を悪者にしてェんだよテメェは!」


喧嘩になりそうな寸前、今度は結を守るように立っていた九兵衛が一歩前に出て

「そうなのか、土方!! だったら今度は君も倒さなければ結ちゃんを守れないじゃないか!」

と、言いだす。

「だから九ちゃん違うから、貴方は前にでなくていいから」

「大丈夫、君との事は妙ちゃんと約束したからな。安心していてほしい」

「アレ、聞いてた? 九ちゃぁぁん!!!」


言うまでもなく、なぜか乱闘になってしまって銀八は結に「大変だな」と頭をなでると「はい…」と苦い返事が返ったのであった。




「あの、すみません…」


「「「あぁ!!?」」」


「ひっ、あ、あの、その…」
「すみません、乱闘の際に申し訳ないのですがもうすぐ後半始まるんで静かにしてもらってもいいですか?」


戸惑う審判の…多分2年だと思われる人がおびえる中、隣にいた少年が真面目に言い返すと、3人は直ちに静かになって「すみません…」と弱弱しく頭を下げるのであった。




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