恋連鎖 | ナノ
病み上がり。そんな事を気に掛けずにこの男はあたしに仕事を押し付ければ「さっさとしろ」と王様口調。
ああもうこの俺様野郎オオオオ!!!……なんて言ったら半殺しにされるんだろうけれども、姿が見えなくなったらべーっと舌を出してこの人にちょっとした反抗態度を示す。
「全く何で…。あたし以外にも保健委員はたくさんいるじゃん……」
「何か言ったか?」
「いいえ!!なんにも言っておりませんんん!!!」
そう、あたし園江結は只今、我が校の俺様保険医高杉様のパシりとして使えております。
いや、好きで使えているわけじゃあないんだよ。うん、それはよくわかるよね。誰が好きこのんで病み上がりの体を引きずって、授業の無い日に学校に来ねばならんのですか。
湧きあがる怒りを抑えながらも薬品の入った瓶を棚に置いていく。
……うーん、やっぱりちょっとだけ体が重いかな。
普通の物より少し大きな瓶を置いたら、自分の額に手の甲をあてた。
あ、少しだけひんやりしてて気持ちいい。瓶に触ってたおかげかなぁ?まあいっか。ちょっとだけ休みたい…「じゃあ次これな」
「高杉先生の鬼ぃ……」
「仕方ねェだろ。お前の連絡先しか知らなかったんだしよ」
「そんなの、個人情報ファイルでも見ればいいじゃないですか。折角教師なのに勿体無いですよ。滅多に人の個人情報なんて見る機会はありませんって」
「…お前、そんなに個人情報見てェのか……」
高杉先生の蔑んだような引いたような視線に「違いますって!」と半分涙目で抗議してみる。
何か今の視線はいやだ!多分誰にやられても嫌だ!
「本当にそんなんじゃありませんから!あたしはただ…その、貴重な経験をですね……」
反駁をしてみたものの、高杉先生はそれをスルーして新たな箱をもう一度あたしに持たせると「いいからさっさとやれ」と言った。
ああもう鬼い!!!
そう思って不貞腐れたら
「嘘だ。…俺も手伝ってやるからそう気を落とすな」
頭にポンと乗せられた大きな手。そのぬくもりと優しい声色に、心臓が少しだけキュンと締めつけられた。
…カッコいいのが悪いんだ。
家族がいました
今更発覚ってドウイウコトナノ