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「ん・・くぅ・・・」
浴室に響く微かな喘ぎと粘着質な水音。
久しぶりに性器として使われたアナルは赤く腫れ、数カ所切れている。臨也はタイルに膝をつき、必死に胎内の精液を掻き出していた。指で内壁を拡げ、排泄するように息めば奥に出されたものがとろとろと下りてくる。あのあと何度も中出しされた精液はタイルに水溜まりを作った。
「ぅ・・ぐ、っ・・・」
血と混ざり薄いピンクになった精液が視界に入り、吐き気がこみ上げた。
シャワーのコックを捻り、水と共にするすると排水口へ流れ込む精液を呆然とみる。何故こうなった、という疑問だけが臨也の頭をグルグル廻る。
この6年間逃げ続けた過去がとうとう現在に追いついた。
臨也自身、逃げきれないことは心のどこかで理解していた。血は引かれあう。日に日に静雄に似てくる子供達を愛しいと思いながらも、いつか出会ってしまうのではという恐怖。
それが現実になり、夢は終わる。


「なにやってんだ、遅ぇな」
浴室のドアが開き、静雄が服を着たまま入ってきた。静雄の目に臨也の太股を伝う精液が映る。
「テメェ・・出したのかよ」
静雄が臨也の前髪を掴み、首を上げさせる。
「いたっ!あ、また妊娠しちゃったらどうするの?シズちゃんも困るでしょ・・・」
臨也が必死に張り付けた作り笑いの顔を殴る。びちゃっとタイルに崩れ、静雄の手には数本の髪が残った。
「なんも分かってねーな。困るなんて言ったか?」
指に絡む髪を鬱陶しげに捨てながら寝ころぶ臨也の腹を踏んだ。
「うっ!や、めて」
徐々に足に込める力が増し、静雄が苛立っていることが分かる。
「6年前、テメェが逃げたのがいけねーんだ。勝手にいなくなるなんてよぉ、俺はどーすりゃいいんだよ」
意外な静雄の言葉に臨也が顔を上げると、殊更優しげな表情に臨也の中で淡い期待が生まれる。
「シズちゃん、俺・・・」
ずっと君が好きだったと言いかけたとき、腹に置かれた足が股間に移動した。

「言ったじゃねーか。搾乳プレイしてぇって」

「ぐっ!ああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
思いっ切り股間を踏まれて絶叫する。
「うるせーな。黙れよ」
浴室に掛けられたタオルを取り、臨也の口に詰める。
「んぐっ!んんーーーっ」
痛みに発する声はタオルに吸収され、ただ床をのた打ち回ることしか出来なかった。
静雄は股間から足を離すと、臨也の身体を裏返した。
「出しちまったんなら仕方ねぇ。また入れんぞ」
臨也の足を掴み腰を固定し、自分のペニスを数回擦るとそのままアナルへ挿入した。
「んぅ!ん、んーー!」
射精の為だけに腰を打ち付ける、とてもセックスとは呼べない行為に臨也のペニスは萎えたままだ。
「しっかり締めろよ」
「んんっ!」
パンッ!と太股を叩かれ内壁が締まると、静雄のペニスが更に大きくなった。
「っ!いいじゃねぇか・・・イくぞ。出すからな!」
パチン、パチンと皮膚の当たる音が激しくなり、静雄がより深い所を抉った。
「ん、ふっ・・ぅ」
再び胎内に熱が吐き出され、臨也の目から涙が零れた。
「今度は勝手に出すなよ」
それだけ言うと静雄は出ていき、浴室には臨也の啜り泣く声だけが響いた。

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