エピローグ

夜が明け、安息日の朝はゆっくりとしたスタートでした。


「腰が痛いな」
ぬるめに張った湯に、昨夜の甘さを残した2人が浸かっていました。大人が10人入っても余裕の浴槽に、2人は隙間無く抱き合ってます。
「風呂出たら、マッサージしてやるよ」
「ん、頼む」

「まーったく甘いねぇ…甘くて、甘くて、甘くて、反吐が出そうだよ」
2人の甘い時を壊す絶対零度の声が浴室に響きました。
「誰だ、アンタ」
日々也王子を庇うように抱いたデリックが警戒し、間合いを取ります。
「兄様!!」
「え?兄様?」
日々也王子に兄様と呼ばれた男は全身黒尽くめの服で立っておりました。顔は日々也王子にそっくりです。
「そー!俺はお兄さま。おわかり?」
「紹介する。私の兄で第一王子の臨也だ。兄様、こちらは私の騎士、デリック」
「よろしく♪」
「どうも」
デリックは気に入らなかったですが、日々也王子に紹介された手前、手を差し伸べました。臨也王子は細腕に似合わぬ力で握り締めてきました。
「へぇ…結構力あるんだ」
「あんたこそ」
「まぁね。王子ってのも意外に大変なものなんだよ。ねぇ、日々也?」
「………」
「それはそうと、俺があげたオモチャは随分役に立ったみたいじゃない。こーんな騎士手に入れるなんて。俺も欲しくなっちゃった」
臨也王子は握手したままの腕を引いて、デリックに唇を合わせようとしました。
「やめろ!デリックは私の騎士だ」
唇が触れる寸前で日々也王子がデリックを引っ張り、阻止しました。我に返ったデリックも、慌てて日々也王子を抱き締めます。
「ふふふ、青いねぇ…他人のモノなんて興味ないさ」
さっきと打って変わってデリックを興味ない目で見つめ、手をひらひらと振りました。

「愛されてるね、君。これでも俺、弟想いなんだ。もし泣かせるような真似したら許さないよ?」
似た警告を新羅からも受けましたが、あの時とは違う恐怖感にデリックの背筋は凍りました。ですが同時に、この兄も確かに日々也王子を大切に思ってると分かり安心しました。
「お任せ下さい。日々也王子に悲しい顔は似合いません」
「そう。なら良かった。俺はもうちょっと首で遊ぶからさぁ、日々也の好きにしていいよ?それじゃ、楽しんで」
言いたいことだけ言って臨也王子は出て行きました。

「びっくりしたー」
「気を悪くしないでくれ。昔からああいう人なんだ。悪い人じゃない」

この素敵で無敵な最凶の第一王子が喧嘩人形と謳われるデリックの兄に一目惚れするのは、また別のお話。




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