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来神&女装&足コキ
ビッチ甘楽






学園祭の校内はどこも人混みで鬱陶しい。屋上へ避難しようと階段を昇る。

3階の廊下に物凄い人だかりが出来ていた。クラスの前を通ると見知った顔。
「よぉ門田。似合ってんな、黒服」
「やめてくれよ。静雄のとこは何やってんだ?」
照れながらスーツ姿の門田がこちらに来た。
「たこ焼き屋」
「いいな。交代したら行くよ」
「悪ぃ、俺は準備専門。今日はいねーよ。ここ何やってんの?すげー人気」
「イメクラ」
「よく許可おりたな」
「まぁ…な。酒出さないし」
歯切れ悪く答える門田の背中越しに中を覗く。暗幕で光を遮り、薄ピンクの照明にミラーボールまである。
「なんか、本格的だな」
「あー凝り性なヤツがいてな。他、見なくていいのか?」
「んー。屋上で一服しようと思って」
「そうか。なら…「きょーへいくぅーん!!」
門田が何か言いかけた時、中からかん高い声が聞こえた。

「フルーツ盛り追加!って、あれ?」
中からショートボブにメイド服姿の可愛い子が出てきた。俺の顔を見て驚く。まぁ、悪い意味で有名だしな。
楽しい雰囲気を壊したらマズいと思い、教室に背を向けた俺の腕が引っ張られた。
「この人、逆指名☆☆☆」
「うぉっ!」
「待て!い…甘楽っ!!」
「やぁーだ」
無理やり腕を引かれ中に入ると、アンミラやナース服姿の女子生徒にそれぞれ2,3人の客が座っていた。いくらなんでも本格的すぎねぇか?

甘楽とやらのテーブルへ着くと、ここだけ異様な空気だ。他よりも大きめのテーブルに、ぎっしり男達が座ってる。このハゲ教頭じゃねぇか。
「ちょっと貴方達、いつまで甘楽の席座ってるんですかぁ?邪魔ですぅ」
輪になる男達に笑顔で言い放つ。
「おい?何言っ…て!平和島静雄!?」
俺の顔を見るなり、そそくさと帰り支度をした。
「いや、俺いいよ。迷惑だろ」
「言ったでしょ?逆指名。甘楽に付き合って下さぁい☆」
トスンっと椅子へ座らされ、腕を組んだまま横に甘楽が座る。メイド服の短いスカートが上にあがって目をそらす。
「なに飲む?」
「いちごミルク」
「かわいっ!!京平君いちごミルク!あとそこの方達から、きちんと巻き上げて☆」
門田にドリンクを頼み、さっきのヤツらを指さす。笑顔が怖い。
「俺、金無いぞ」
「ん?大丈夫ですよぉ。イケメンからお金取りません☆平和島さんですよね?」
「俺のこと知ってて呼んだんすか?」
「もちろんですぅ。なんて呼べば良いですか?」
「あ‥好きに。」
「じゃシズちゃ「それ以外で」
「えー。何でですかぁ?」
「いや…そう呼ぶヤツ1人だけなんで」
「嫉妬しちゃいますぅ。じゃ、静雄くん。あと敬語禁止」
甘楽が首を傾げるとサラサラ髪が流れ、うなじが見えた。
「あれぇ?顔、赤い」
「え、あ、悪りぃ」
「何謝ってるんですかぁ?あ、いちごミルクきた」
「お待たせ致しました」
「ありがと!ハイ、静雄くん」
「ども。大変だなー門田」
「まぁ……楽しめよ、静雄」
「あ?あぁ」
心なしか門田が緊張してる。ま、いいか。

どうやら時間制らしく、30分もするとベルが鳴った。さっきの様子じゃ、このテーブルは適用されないみたいだが。
「時間だな」
「えー離れたくないですぅ…」
苺を咥えながら呟く。
こちらとしては早く離れたい。滅多に女と話さない上に、こんなに密着されては…アイツに見つかることを考えても早々に帰りたい。

「あ!甘楽ちゃん、このあと休憩なんですぅ。静雄くん、一緒に回りましょ?」
「あ?いや、あの…」
「決定ー☆」
自己完結した甘楽は、また俺の腕を引っ張って立ち上がった。
「じゃ京平君、あとヨロシクね」
ひらひら手を振り教室を出る。
「あ、金…」
「いいの!」
グイグイ腕を引っ張られて進む。

「どこ行くんだ?」
「静雄くん、イイことシよ?」
口元に指をあて、スカートをなびかせ振り返った。

一瞬アイツの顔が浮かんで、手を振り離した。





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